目次
第1章 なぜ郊外か?
第2章 アメリカン・ドリームとしての郊外
第3章 戦後日本の家族と郊外
第4章 郊外と女性の不満
第5章 郊外の世代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sugiken
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「郊外」とそこで生きる家族の姿を、50年代のアメリカと70年代の日本の比較を通しながら論ずる。郊外という漠然とした均質的な広がりの中には、演戯された核家族の姿や希薄な人間関係でしかない地域が見られる。郊外で生活する豊かな家族という理想と崩壊した家族の現実との乖離は、郊外特有の性質によって出現したと三浦はいう。たしかに郊外とは、なんとも退屈な日常世界である。都市の拡大によって、郊外は巨大な空間となり、人々の生活の舞台となっているのだ。ただし本書を読んでいて、筆者の憶測のような書き方があるのが気になった。2011/05/24
yamayuuri
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15年前にでた三浦展さんの初期の郊外論。内容としては戦後の家族…と重複するし、あっちのほうが濃い。でもやっぱり米国の1950年代と日本の1980年代の比較はナイスだと思う2010/05/28
古道寺新人
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居住環境の変化で社会のいろいろな事象を説明するという作法は、宮台真司的な都市社会学、つまり都市という下部構造が社会の諸側面の上部構造を規定するという議論に近似している感じがする。郊外生活がアメリカのヒッピームーブメントや日本の60年代文化への回帰をもたらしたという分析は面白い。この頃の三浦展の書く文章は割にしっかりしている。2025/08/06
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第四山の手は、東京都心から20-50kmくらいの郊外である。郊外は極めてアメリカ的であり、また、均質的である。中央線に乗っていると、中野あたりから先、ひたすら似たような住宅街の光景が続くのを思い出す。最大公約数的な商業施設と商品のラインナップは、消毒されたようにホワイトだが、愉しみがない。また、家族の家族性が失われ、家族であることを演じる必要が出てくる。夫は不在、専業主婦は不満を募らせ、精神の病理がある。幾分か決めつけもあろうが、郊外に対するステレオタイプ?を完結かつ鋭く描写している点で人気出たんだろうな2024/04/14