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出版社内容情報
人間活動が地球環境に重大な影響を与える「人新世」の時代が到来、さらにその次にどういった時代が来るのか、そうした時代に美術論がどういったものになるのか。
気鋭の美術評論家が語るポスト「人新世」の美術論。
本書の目的は、人間と自然の関係を軸とした美術史を構築することである。アーティストはいかにして自然と対峙しながら創作してきたのか、作家の自然をめぐる認識がどのような形で過去の芸術作品に表出しているのか。人文科学の領域のなかでは、しばしば「芸術」や「美」の観念はあたかも人間の専売特許のごとく扱われてきた。しかし「なにかを見たり聞いたりしたときに感じる経験」としての美意識には、動物や植物と共通の基底が存在することを近年のいくつかの研究は明らかにしている。本書は、美術史や文化研究で支配的な人間を中心に据えた視点を脱却し、人類という種を相対化した目線から芸術の歴史を捉え直す。それによってまったく新しい展望を開くことを目論んでいる。
内容説明
人間がいなくなった後でも、アートは可能か?『現代美術史』(中公新書)をまとめ上げた著者が未来に問う、まったく新しい人間と自然の美術史。
目次
はじめに―アフター・コロナの芸術論
序章 美術史の脱人間中心化
第1章 重要な他者との終わりなき会話―AKI INOMATAのインスタレーション
第2章 自然なき風景画―本田健の絵画
第3章 来るべき土着性のために―天地耕作の彫刻
第4章 反近代としての野生―集団蜘蛛のパフォーマンス
第5章 働く者の手が作る芸術―山本鼎の農民美術運動
終章 世界を再魔術化する芸術
あとがき―さらなる「人間と自然の美術史」にむけて
著者等紹介
山本浩貴[ヤマモトヒロキ]
1986年生まれ。文化研究者、アーティスト。一橋大学社会学部卒業後、ロンドン芸術大学にて修士号・博士号取得。2013~2018年、ロンドン芸術大学トランスナショナルアート研究センター博士研究員。韓国・光州のアジアカルチャーセンター研究員、香港理工大学ポストドクトラルフェロー、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科助教を経て、2021年より金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科芸術学専攻講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。