内容説明
日本人に自信を与え、現代の不安感に打ち克つ精神的エナジー。70歳から90歳に至る北斎が追究したのは、その生成システム。NHKクイズ番組迷宮美術館で、コンパスと定規を駆使した「神奈川沖浪裏」制作の秘密に迫る。
目次
現代の虹
偉大なる平凡―足立区西新井大師にて
富士との距離―新宿、保土ヶ谷
もうひとつの力―木更津・上総博物館
星座のごとく―神楽坂の居酒屋
流動する迷路―日光霧降滝、銚子
人知のかぎり―新宿西口高層ビル
仮に架ける橋―足利・浄因寺
行方不明の私―浦賀・真福寺など
離見する知恵―浅草・誓教寺
万物に目を開く
混血の美しさ
激変に向かう
ポリフォニー的主体へ
著者等紹介
中村英樹[ナカムラヒデキ]
1940年名古屋市生まれ。名古屋大学文学部卒。1965年、69年美術出版社主催芸術評論募集に入選。以後、新聞・雑誌・展覧会企画などによる評論活動を展開。国際美術評論家連盟会員、名古屋造形芸術大学教授
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感想・レビュー
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ぼくベスト
1
10年前に読んだ本で、僕がずっともっていたい本ベスト10に入る。北斎の作品や漫画をビジュアルで並べ見せた美術書は いっぱいあるけど、モチーフを構成する上で、北斎がもっとも重要視した、創作に携わる人間ならきっと誰にも教えたくないであろうキモになる部分を、著者は示してくれていて、驚き感動した覚えがある。北斎は単に絵がずば抜けて上手い人なのか?作品を見て北斎の視覚効果に気づく人は何人いるんだろう。 手塚治虫が限られた紙面の中で、動きや時間の流れを視覚的に研究し試したように、北斎もコンパスと定規を駆使し緻密に計算2011/10/13