内容説明
美術館は、われわれの「未来の芸術」を育む場になりえるか?―国立西洋美術館では1959年の開館以来、初となる現代美術展の企画者が立てた問いに、参加作家たちがインタビュー形式で応答。梅津庸一、小田原のどか、布施琳太郎、松浦寿夫による美術館制度をめぐる論考も収録。美術館はこれからどのような役割を果たしうるのか?現代美術家たちによる未来の美術への提言が、いまここに集結する。
目次
インタビュー(アーティストのために建った美術館?;ここはいかなる記憶の磁場となってきたか?;日本に「西洋美術館」があることをどう考えるか?;この美術館の可視・不可視のフレームはなにか?;ここは多種の生/性の場となりうるか? ほか)
論考(建築未遂のミュージアム―国立西洋美術館と螺旋展画閣;誰かの見た夢から覚める―国立西洋美術館開館65周年に寄せて;ここは東京藝大系および、美大教員系アーティストたちが眠る部屋なのか?;シメーズの騒めき)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
10
展示の図録以上に、展示作家のインタビューと批評集が中心。読み物としての機能が強い。アドルノの引用が多かった。昨今の美術事情や今回のキュレーターへの批判を伴う梅津庸一の文章と、その隣で絵画の美学にひたすら向かう印象の松浦寿男の文章が全然違くて面白くなった。2024/03/17
lyrical_otoca
0
同展覧会の目録というより副読本。展示の写真はあまりなくてインタビューが中心。正直展示よりもこの本のが面白かった。権威としての国立西洋美術館と現代美術の不思議な折り合わせが興味深かった。2024/09/18
元アルパカ
0
ホームレスの横を通り過ぎて美術館に行くことを皮肉に感じていたのだが、最近は忘れてしまっていた。同展覧会におけるインクルージョンについて語るセクションでさえ、彼らは忘れられていた。ある意味で漂白された「美術」の空間に突然ブルーシートに描かれた絵が出現したときの爽快感が印象的だった。 作品という意味では坂本夏子の四角を用いた点描画のような作品がとても好きだった。文字を読んで疲れた後にいい絵の展示があり、集中して見切れなかったのがすこし心残りだ。そういう意味では、絵が小さい本図録はちょっと物足りない。2024/05/22
ピラックマ
0
国立西洋美術館で現代アートをやる意義と言い訳にも聞こえる理論づけに紙面を使いすぎで図録としては失格、展示品が全て掲載されておらず後から振り返り参照ができない。2024/05/04
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- 和書
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