- ホーム
- > 和書
- > 芸術
- > 芸術・美術一般
- > 芸術・美術一般その他
出版社内容情報
本書は、芸術作品の再演(再展示)において参照される指示書や記録写真、映像を取り上げ、そこに含まれる手順や仕様、指示内容によって作品はどのように再現されるのか、作品の同一性をいかに継承していくのか、について問うものです。
第Ⅰ章では、絵画の模本や工芸の手板、彫刻の試作や建築の模型など、美術教育のなかで技法や意匠がどのように継承されていったのかを概観します。
第Ⅱ章では、インスタレーションやバイオメディア・アートのように、再演のための指示書を必要とする作品の成立条件や規制について考察します。
第Ⅲ章では、将来的に新しい媒体や環境への移行が必要なデジタルデータを用いた作品や、一回性をもつインタラクティブな作品の再演について、真正性とは何かという観点から保存や継承方法を探ります。
また、川俣正への聞き取り調査では、1979年に大学卒業課題として制作した《自画像》の保存や再展示に関してヒアリングし、作家が展示した当時とその後の展示では展示方法が違っていた点や、どこまで再現するかという作家の考えも窺える興味深い内容となっています。
最後の章では、再演は何をもって同一な作品(もしくは同一な体験)であることを保証するのか、展覧会における指示書のあり方について考えるきっかけを提示しています。
目次
創造のために(再現の手順;再現の規則 ほか)
再演(再現)のための指示(作品制作者による、再演(再現)における作品の同一性)
再制作とその継承(再演(再現)における作品の同一性)
ミュージアムの仕様
著者等紹介
平諭一郎[タイラユイチロウ]
1982年生まれ。専門は芸術の保存・継承。現在、東京藝術大学未来創造継承センター特任准教授、芸術保存継承研究会主宰。創造の過程や周辺、実践知といった様々な芸術資源から新たな表現が持続的に生まれる、循環型のクリエイティヴなアーカイヴを推進し、研究プロジェクトや展覧会の企画、論考、作品制作を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。