涙の箱

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  • サイズ 46判/ページ数 88p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784566024892
  • NDC分類 929.13
  • Cコード C0097

出版社内容情報

ノーベル文学賞作家ハン・ガンがえがく、大人のための童話
この世で最も美しく、すべての人のこころを濡らすという「純粋な涙」を探して

 昔、それほど昔ではない昔、ある村にひとりの子どもが住んでいた。その子には、ほかの子どもとは違う、特別なところがあった。みんながまるで予測も理解もできないところで、子どもは涙を流すのだ。子どもの瞳は吸い込まれるように真っ黒で、いつも水に濡れた丸い石のようにしっとりと濡れていた。雨が降りだす前、やわらかい水気を含んだ風がおでこをなでたり、近所のおばあさんがしわくちゃの手で頬をなでるだけでも、ぽろぽろと澄んだ涙がこぼれ落ちた。
 ある日、真っ黒い服を着た男が子どもを訪ねてくる。「私は涙を集める人なんだ」という男は、大きな黒い箱を取り出し、銀の糸で刺繍されたリボンを解くと、大小、かたちも色もさまざまな、宝石のような涙を子どもに見せた。そして、このどれでもない、この世で最も美しい「純粋な涙」を探していると話す。男は子どもがそれを持っているのではないかと言うのだが――。

「過去のトラウマに向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにする強烈な詩的散文」が評価され、2024年にノーベル文学賞を受賞したハン・ガン。本書は童話と銘打ちながらも、深い絶望や痛みを描き、そこを通過して見える光を描くハン・ガンの作品世界を色濃く感じられる作品です。
 幸せな出会いが実現し、日本語版の絵はハン・ガン自身、長年ファンだったというjunaidaさんが担当。ハン・ガンが、「読者それぞれのなかにある希望の存在」としてえがいた主人公や、どこともいつとも特定しない本作の世界を美しく描き、物語とわたしたちをつないでくれます。
 2008年、韓国で発売され、本国では子どもから大人まで幅広い年齢層に愛されている本作。ハン・ガン作品との出会いにもおすすめの一冊です。

「きみの涙には、むしろもっと多くの色彩が必要じゃないかな。特に強さがね。
怒りや恥ずかしさや汚さも、避けたり恐れたりしない強さ。
……そうやって、涙にただよう色がさらに複雑になったとき、ある瞬間、きみの涙は
純粋な涙になるだろう。いろんな絵の具を混ぜると黒い色になるけど、
いろんな色彩の光を混ぜると、透明な色になるように」
―本文より―

涙をめぐる、あたたかな希望のものがたり。


【目次】

内容説明

この世で最も美しく、すべての人の心を濡らすという“純粋な涙”を探して。ノーベル文学賞作家ハン・ガンがえがく大人のための童話。

著者等紹介

ハンガン[ハンガン]
1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文学科を卒業。1994年、ソウル新聞新春文芸に短編「赤い碇」が当選し、作家デビュー。2005年、『菜食主義者』(クオン)で李箱文学賞を、また同作で2016年にアジア人初の国際ブッカー賞を受賞。2017年、『少年が来る』(クオン)でイタリアのマラパルテ賞、2023年、『別れを告げない』(白水社)でフランスのメディシス賞(外国小説部門)、また同作で2024年、フランスのエミール・ギメ アジア文学賞を受賞。2024年、「過去のトラウマに向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにする強烈な詩的散文」が評価され、ノーベル文学賞を受賞

きむふな[キムフナ]
韓国生まれ。韓国の誠信女子大学、同大学院を卒業し、専修大学大学院日本文学科で博士号を取得。日韓の文学作品の紹介と翻訳に携わる。韓国語訳書の津島佑子『笑いオオカミ』にて板雨翻訳賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

やすらぎ

206
哀しみから零れ落ちる涙は、やすらぎに満ちてとけていく。枯れてしまった潤いはどんなに苦しんでも戻ることはない。雨が降り続いているのに、流れていくこともできない。消えた一雫、そこに込められた願いは、眠る思いは、固く結ばれた包みを紡ぎなおして、解き放たれる。きっと輝きを取り戻す、あの日を忘れないために。赤、青、黄、それぞれの感情が混ざり合うと何色になるのだろう。読者にそっと語りかけてくる。明け方には青い鳥がきらめいている。どんな涙色なのだろう。影に灯る光は、この世界を何色に染めるのだろう。感性を刺激される一冊。2025/08/30

旅するランナー

204
ノーベル賞作家による大人のための童話。世界初翻訳。涙つぼと呼ばれる女の子、涙を集める男、影の涙、青い明け方の鳥…予想外の瞬間に私たちを救うために涙が訪れます。junaidaによる静謐な装画·挿絵も素敵です。涙の数だけ強くなれるような、このファンタジー小説には読む人への浄化作用があります。2025/10/11

☆よいこ

116
YA。jyunaidaのイラストがぴったりな大人のための童話。「涙をめぐる、あたたかな希望のものがたり」▽いつも泣いてばかりいるので〈涙つぼ〉と呼ばれた女の子がいた。ある日、黒いおじさんがやってきて「涙を売ってほしい」という。女の子はうまく泣けなくなった。おじさんは山の向こうに涙を売りに行くというので、女の子はついていく。おじさんの鞄には様々な涙がしまってあった。山の向こうに住んでいたお爺さんは、売ってもらった涙を使い、泣いた▽悲しみのエピソードはつらいけれど、優しい癒しの物語。2025.8刊2025/10/14

シナモン

99
こらえすぎた涙はいつしか影の涙となって涙を流すことができなくなってしまう。 「あれ、なんで涙が…」思いもよらぬ瞬間の涙。 涙を流せるって大切なことなんだ。2025/09/29

buchipanda3

98
人は涙によって救われることがある。確かにと思った。胸の中を駆け巡り揺れる気持ちを、人はずっと内に留めておけないものだ。悲しみも怒りも嬉しさも外へ出たがっている。意図してではなくて、ただ自然に涙として。その人の心を洗ってくれた水は、人の心に変化をもたらす。でも人は本当の気持ちに気付かないふりをすることもあれば、気持ちに不器用になることもある。「人によっては、目から流す涙より影が流す涙の方が多いんだ」。どちらでも色彩に充ちた想いをあるがままに落涙する。きっとうっすら青い明け方を迎えられるはず。装画も良かった。2025/10/09

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