内容説明
「おまえのことが心配だよ」って、おばあちゃんが言う。「だいじょうぶだよ」って、こたえた。でも―ぜんぜん、だいじょうぶじゃなかった。だって、ぼくはいま、ゴーストなんだから。
著者等紹介
ローズ,ジュエル・パーカー[ローズ,ジュエルパーカー] [Rhodes,Jewell Parker]
アメリカの作家、教育者。ペンシルベニア州のカーネギーメロン大学で、演劇評論、創作などを学び、文学士の博士号を持つ。子どもの本のほか、大人向けの小説も手がけている。『ゴースト・ボーイズ―ぼくが十二歳で死んだわけ―』は、ニューヨークタイムズのベストセラーに選ばれ、高い評価を受けた
武富博子[タケトミヒロコ]
東京都生まれ。幼少期にメルボルンとニューヨークで暮らす。上智大学法学部国際関係法学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tellme0112
12
図書館の新作で手にとり、あまりの良さに、もっと若い世代に順番を譲るべきかと一度はあきらめ、二度目に見つけて借りて一気読み。感想文書きたくなる。本当は構成とかじっくり味わいたかったが。再読時に譲る。
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
10
おもちゃの拳銃で遊んでいた12歳の黒人少年ジェロームは、白人警官に撃たれて死んでしまう。ゴーストになった彼は、他の黒人少年のゴーストたちと話し、黒人が殺された過去の事件を知る。「死ぬ前のぼく」と「死んでからのぼく」が交互に書かれている。2023/05/04
ぽけっとももんが
9
12歳で警官に銃で撃たれて死んだ黒人のジェローム。「死んでからのぼく」と「生きているぼく」の章が交錯する。主人公がジェロームなのにタイトルがボーイズなのは読むうちにわかる。しかし出かける我が子に「とにかく無事に家に帰ってきて。警官に気をつけて」と言わなくてはいけないのはどう考えてもおかしい。そしてやっぱり、銃規制がどうして進まないのかが不思議でならない。離れた安全な場所から逃げる少年の背中を狙える銃が、治安を守るとも思えない。「ボウリングフォーコロンバイン」を思い出す。2021/08/09
にしの
6
アメリカの黒人差別問題がいかに根深いかわかる作品。筆者は人種偏見に基づく殺しにあった黒人少年しか語り得ないことをゴーストに語らせた。黒人少年は昔からずっと殺され続けている。辛い話に、「昔に比べたらマシ」と感じてしまうのは希望に偽装した慰めかもしれない。しかし、その安寧は筆者の望むものでない。こういう人種バイアスによる殺しが未だになくなっていない以上、本作をハッピーエンドに読める人は少ないだろう。2022/05/26
shoko.m
5
ジェロームは、背後から警官に撃たれた。まだ12歳なのに。死の場面から始まるこの物語は、死んでからのぼくと生きているぼくが交互に話を進めて行く。生きていたときのジェロームがどんな少年でどんな風に生きてきたのか、そしてゴーストになった理由はなんなのか。BLMの問題はメインのテーマだが、ジェロームを撃った白人警官、その娘のセアラ、ラテンアメリカ系の友人カルロスなど、事件後それぞれ悩みながら前を向いていく姿も描かれる。この作品を、よその国のお話でなく、人間の、自分たちの差別の話だと思って読んでほしい。2021/10/15