出版社内容情報
キーラン・ウッズは中学一年生。周りから「低脳」と言われているが、実は鋭い観察眼の持ち主。独自の視点で殺人事件に挑む!
キム・スレイター[キムスレイター]
イギリスの作家。ノッティンガム・トレント大学で創作を学び、2014年に『スマート―キーラン・ウッズの事件簿―』でデビュー。この作品が注目を集め、イギリスで数々の文学賞にノミネートされた。
武富博子[タケトミヒロコ]
幼少期をニューヨークとメルボルンで過ごす。上智大学法学部卒業。おもな訳書に『闇のダイヤモンド』、『沈黙の殺人者』、「魔法ねこベルベット」シリーズ、「動物探偵ミア」シリーズなどがある。
内容説明
川で事件がおこった。コリンさんが川に浮いていた。警察は事故だっていうけど、殺人事件だとぼくは思う。―キーラン・ウッズ―
著者等紹介
スレイター,キム[スレイター,キム] [Slater,Kim]
イギリスの作家。ノッティンガム・トレント大学で英語と創作を学び、2014年『スマート―キーラン・ウッズの事件簿』でデビュー。この作品が高い評価を得、リーズ図書賞など10もの賞を受賞。カーネギー賞候補にも名を連ねた。現在、イギリスで最も注目される新人作家の一人
武富博子[タケトミヒロコ]
東京生まれ。幼少期にメルボルンとニューヨークで暮らす。上智大学法学部国際関係法学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mocha
79
最近、妻の連れ子を虐待というニュースが多いが、イギリスでも同じなのだろうか?夫の言いなりの母親が腹立たしくて、前半なかなか読み進められなかった。DV、差別、薬物・・かなり重いテーマを孕みつつも、キーラン少年の語りには希望が感じられ、気持よく読み終えた。鋭い観察力とまっすぐな心は彼の武器だ。画家・ラウリーの絵を知ることができたのも良かった。〈西日本読書感想画コンクール課題図書〉絵にするのはなかなか難しそう。2019/06/26
ぼんくらぼん
12
発達障害の少年キーランが、ホームレスの男が殺された事件を追う数日間の出来事。継父の暴力、障害に対する周囲からの軽侮、生きづらさを抱えながら、自分なりのやり方で事件に関わっていく。彼なりの生真面目さ、前向きな姿勢で、事件も、めちゃくちゃだった暮らしも、解きほぐされていく。2017/03/17
ツキノ
10
中学2年生の男の子キーランが水死体を見つけるところからストーリーははじまる。いきなり!キーランは将来はイブニング・ポストにの新聞記者になるつもり。独自に調査をはじめる。読んでいくうちにキーランには学習補助の先生がついている、母親の再婚相手が仕事もせず暴力を振るうDV男で、その息も殺人ゲームを一日中やっている、なんてことがわかってくる。キーランの物の考え方、整理の仕方はとても参考になる。まさにこういう子を「スマート」というのだろう。YA向けだけれどおとなも十分楽しめる。読めてよかった作品。2017/04/03
joyjoy
8
「見かけの奥にあるもの」を見る。 キーランが、お気に入りの画家L.S.ラウリーについて、こう記す。「ラウリーのやりかたで人の顔を描くと、その人の人生をすべて描くことになる。外側がどう見えるかだけではなくて」。キーラン自身も、注意深く、見かけの奥にあるものを見る。一見、的外れのように思える彼の発言も、実は、ど真ん中をついていたりする。ホームレスのジーンさんや、ウガンダからの転校生カーワナとも友達になれる。ウスノロ、低脳などと呼ばれるキーランのその見かけの奥にあるものを、そのスマートさを、わたしたちは見る。 2022/07/11
spatz
7
たぶん障害をもつ一人称の少年キーラン。アスペルガー?起きることはかなり重いのだが、しかし、それほどきつくなく読めた。著者はイギリス人。コールオブデューティ、に耽溺する血の繋がらない兄。これ聞いたことあるゲーム。動物虐待で逮捕されるに至る、血の繋がらない父。耐える母。「蝿の王」よまないと。ウガンダからきた転校生少年、父を目の前で殺された。キーランが池で水死体を発見する場面からはじまり、謎解きをモチーフにはしているのだが、それはあくまでモチーフで、その根底にあるものは、なんだろうね。かなり厳しい環境でも、障害2017/03/08