内容説明
破壊されたベイルートの町で、よりそって暮らすアイーシャたち。母さんは爆撃で行方不明になり、たよりにしていたおばあちゃんまで、たおれてしまった…。おばあちゃんを助けるには、グリーンラインのむこうまで薬をもらいに行かなければならない―敵の土地まで。十歳の少女がくだした決断とは?
著者等紹介
レアード,エリザベス[レアード,エリザベス] [Laird,Elizabeth]
イギリスの作家。多くの話題作を発表している。マレーシアで教師生活を送り、夫の仕事の関係で、エチオピアやレバノンに長期滞在した
石谷尚子[イシタニヒサコ]
東京生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mocha
94
【西日本読書感想画コンクール課題図書】30年程前、内戦時下のベイルート。東西に分断され、停止線グリーンラインを挟んで兵士が睨み合う街。10歳の少女・アイーシャは、祖母の薬を手に入れるため、グリーンラインを越えて走る。怖い兵士にも「子煩悩な父」という顔があり、何も知らない子どもも敵から見れば「シーア派のガキ」と呼ばれる現実。「人を憎まないで」と言う女性医師は作者の投影だろうか。2016/06/21
☆よいこ
54
内戦下のレバノンで爆撃に巻き込まれ母を亡くし、おばあちゃんと弟たちと逃げてきたアイーシャ。親切な人に助けられ他の避難民と一緒にアパートでなんとか生き延びていたが、おばあちゃんの具合が悪くなった。お薬さえあれば助かると思ったアイーシャは、たったひとりで戦場を駆け抜ける。▽作者の実体験からかかれた物語。相手が誰で、なんのために戦っているのかもわからないのに、子ども達は巻き込まれ傷ついている。戦争は不条理だ。2019/08/20
ブルちゃん
35
このお話が全て空想ではないということ。敵味方の誰もが同じ人間であること。皆が同じく苦しい中で、本当に手を差し伸べてくれる人がいる。私はそんな偽りのない強さを持った人達を、心から尊敬します。特集してくれた図書館の方に感謝。原書はイギリスでのハル児童文学賞受賞。2023/05/04
星落秋風五丈原
32
大人達が始めた戦争に子供たちも巻き込まれる。いや、最も大きな影響を受け、傷を負うのが子供たちだ。庇護してくれるべき親から離れ、時にはアイーシャのように、まだ経験も少ないのに、庇護する側に回らなくてはならない。著者はアイーシャに様々な人と出会わせる。グリーンラインのあちら側が敵、こちら側が味方という単純な分け方を大人たちはしているが、実際はそうではなかったことをアイーシャは知る。彼女の視点や体験を通じて私たちも知る。戦争で戦っている両サイドを、単純に善と悪で決められないことを。2025/02/17
さく
23
ベイルートの町は、西と東に分断され、その境界線では日々戦闘が行われていた。10歳の少女アイーシャは、祖母の薬を手に入れるため、境界線を走り抜ける。作者自身がベイルートに住んでいた時の思い出をもとにした物語。2016/04/24
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