内容説明
恐ろしい闇の力を秘める黄金の指輪をめぐり、小さいホビット族や魔法使い、妖精族たちの果てしない冒険と遍歴が始まる。数々の出会いと別れ、愛と裏切り、哀切な死。全てを呑み込み、空前の指輪大戦争へ―。世界中のヤングを熱狂させた、不滅の傑作ファンタジー。旧版の訳にさらに推敲を加え、新たに『追補編』を収録した「新版」です。トールキン生誕100年記念出版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syota
35
長い物語もとうとう終了。単純なハッピーエンドに終わらせず、心の傷に苦しむフロドが大海の彼方へと向かうラストが印象的だ。ストーリーの面白さはもちろんだが、それを支える背景世界の緻密さ(地理的にも歴史的にも)が、作品の魅力の源泉になっていると感じた。それとともに、映画が原作の雰囲気をかなり忠実に伝えていたことにも驚く。しかも、原作の所々に見られる流れが滞りがちなところや、人種的偏見ととられかねない箇所を巧みに処理して、現代人にも抵抗なく楽しめるように仕上げていた。こちらも高く評価したい。[G1000]2018/02/12
みけのすずね
13
フロドとサムは塔をあとにし、指輪の重みや喉の乾きに責め苛まれながら、足ごたえある道をゆく。燃える指輪を抱えることは、運命の輪の苦しみを引き受けることのようだ。指輪を引き受けられなくとも、朦朧とした主人を背負って登る…サムの火事場のバイタリティに天晴れ。哀しみに注がれた憐れみが、愛情として陽の光のごとくエオウインに満たされていく変化にも心打たれました。「わたくしは癒し手となり、すべての育っていくもの、不毛でないものをいつくしむことにします」飛蔭やグワイヒアの活躍にも惚れ惚れ。灰色港へと…往きて還りし物語。2017/02/19
はる
12
図書館本。往きて還りし物語、一巡目の読了。「それから後はみな幸せに暮らしました」はあり得ない!というのを知ってしまってから読んだのが良かったのだろう。無事に指輪を捨てて、旅の仲間が流れ解散していって、あの馬のビルにも会えて、あらら故郷に戻ってみれば、こんな騒動とこんな後始末!それはビルボとゴクリが出会ってしまったから…名前を告げてしまったから…。 さて次は追補編へ。読み手もお腹すくし体力が要る。2015/05/18
あつお
8
単なる「ハッピーエンド」では終わらない不朽の名作。 よくあるディズニー映画では、明瞭な対立構造が示され、物語終盤で敵を排除する。世界には平和が訪れ、何の苦もなく幸せな展開が続くように思われる。しかし、指輪物語はそうではない。人生における困難は断続的に出現するという事か。切ないものですね。 本作品の世界観が精巧に表現された映画版も観てみたいです。2021/12/27
taikiat
7
ついに指輪物語完結。ここまで読んだご褒美かのように、最後の巻はずっと面白かった!火山の後、こんなに話が続くとは思わなかった。あの人の最後を語ったシーンもなかなか面白かった。映画では丸々カットだったな。これが読めただけでも読んだ甲斐があった。いやー、読み終えて凄い達成感だ。万人に薦める作品では無い気がするけど、ファンタジー好きなら読んで!といいたいな。2021/12/28