内容説明
唯一なる神“エル”の天地創造から傑作『指輪物語』の時代までを描く、トールキンの壮大な神話世界。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ビブリッサ
71
指輪物語以前のエルフたちの戦に明け暮れた物語。後のホビットたちの物語をより深くするための前段階的なものかもしれない。死の概念が人間とは違う世界のなかで、永遠とも言える時間を生きる種族たち。戦いは果てしなく、悲劇は忘れられることなく、喜びは束の間だ。2017/10/21
ワッピー
17
【トールキン・リーディング・デイ】イベントで再読(のハズ)。神霊のハーモニーによる世界創造からエアレンディルの船出まで。なじみ深い第三紀はほんの一部だと思い知る。大トールキンの言語学迷宮に翻弄されながら何とか通過したものの、文庫版補遺のおぼろげな記憶が頼りで、たまに見覚えのある名詞に出会うぐらいで、再読とは思えないほど既視感なし。「トールキンのクッレルヴォ物語」で知った「カレワラ」にインスピレーションを得たという「トゥーリンの物語」を確認できたことは収穫。乗るほどの勢いはありませんが、下巻に進みます。2022/04/07
みけ
15
「指輪物語」のトールキンが半世紀以上かけて創り続けていたトールキン神話。作者死後、息子さんが大量の資料をもとに編さん、出版した「シルマリルの物語」。「未完成なものを出版されるのって作家本人的にどうなのかな」なんて思いながらいそいそと読み始める。面白い。面白いけど、非常に読み難い。名称が多すぎて、メモを取りつつ読み、地図を見ながら読み、迷子になる。覚えてる名前をみるとホッとするのでサウロンに会っても「おっサウロンじゃん」と親しみを込めて挨拶したくなる。下巻へ。2018/12/18
mahiro
10
再読、所有の昭和57年版はなかったのでこの本で、最初に読んだ時第一紀の戦いや続々出てくる人名がすんなり頭に入って来ず余り楽しめなかったが指輪物語再読や周辺本などで世界が掴めてから再読すると面白い、ベレンとルシアンの話ノルドール族の悲劇など指輪物語の中のエルフ達の境遇も理解できる。ただ作者の創った世界はなんと戦いに満ちている事か、太陽も月もなくエルフも目覚めぬ頃からメルコールとヴァラ達は戦い人間族が出現しても争いは続く、数々の勲し英雄は出ても幸せになる者は少ないエルフも全き善ではなく同族殺しもある2017/03/22
人間
9
登場人物、場所、種族、物の名前を理解するのが大変!だけど、トールキン作品の世界の成り立ち、種族の運命、西方のアマン中つ国のことが理解できる。 モルゴスは元々八百万の神々ヴァラールの一員だった。唯一神の長子たるエルフは、才知、美に恵まれたフェアノオルが作成した宝石シルマリルに、世代を経てもなお翻弄されていく。人間ベレンとエルフ(とマイアの混血)ルーシアンの章が印象的。三度だけ話せる犬フアンが忠犬過ぎて良い。人間も神の子、ドウォーフはアウレの作品、オークはモルゴスがエルフに似せて作ったエルフのマガイモノ。2023/08/15