内容説明
動物はそれぞれ固有の行動様式(形質)をもっており、形態と同様にその動物を特徴づけ、生命の維持と自己複製に必須の役割を果たしている。本書は、これらの行動形質について多分野にわたる生物学的諸課題を簡潔に要領よくまとめた動物行動学のテキスト・参考書である。多くの図表を用いてわかりやすく解説してあり、動物行動学や行動生物学に関心のある初学者にとってこの分野を概観するのに好適な入門書である。
目次
第1部 行動の機能と進化―行動生物学
第2部 行動のしくみ―行動生理学
第3部 行動の発達―行動発生学と学習
第4部 人間の行動
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
茶幸才斎
3
動物行動学には、主要な3つの分野があるらしい。進化と適応戦略としてよく語られる話は、行動生態学というそうだ。ほかに、行動の生理的機序を扱う行動生理学と、行動の発生や発達を扱う行動発生学があって、あまり馴染みがなかったので面白かった。動物行動学は、人間について論じ出すとえてして眉唾臭くなる。しかし、人間の乳幼児から思春期までのどん欲な知識や行動の学習能力は、生まれた先の予測不能で複雑怪奇な人間社会の環境に、個体が出たとこ勝負で親和性を形成していく、いわば「刷り込み」みたいなもの、という筆者の考察は興味深い。2010/10/13