内容説明
裁判員制度が始まった。そこでは法の専門家と、非専門家である市民とが、協働し、証拠を評価し、法的判断を行う。市民に求められるのは社会常識による思考・判断だというが、専門家と非専門家では一体どこが異なるのだろうか。誤判原因に対する意識、目撃証言の信用性評価、記憶の抑圧や回復についての信念、言い逃れのメカニズム、そして子どもの証言をどう考えるか―。司法場面をフィールドに心理学の研究を行ってきた著者が、現実の事例にも当たりつつ、専門家の見方、非専門家の見方を考える。
目次
1章 市民と法曹の人々による、誤判意識―何が誤判を生むのか
2章 裁判に必要な知識―裁判員に求められるものとは
3章 専門家と非専門家の心理学的知識―専門家と非専門家はここが違う
4章 記憶の抑圧と回復―回復した記憶の信用性は
5章 偽りの記憶が問題となった事例―思い出せない記憶の想起過程
6章 記憶の抑圧/回復に対する信念―抑圧/回復の概念はどこから来るのか
7章 方便としての「記憶の抑圧と回復」―「記憶にございません」に説得力はあるのか
8章 子どもの証言は信用できるか―専門家と非専門家の信念の違い 幼児の証言の信用性
9章 子どもの証言の正確性に影響を及ぼす要因―面接における子どもの問題と大人の問題
10章 子どもの証言と司法面接―子どもからどのように話を聞けばよいか
11章 法と倫理の心理学―心理学の知識を裁判に活かす
著者等紹介
仲真紀子[ナカマキコ]
1984年お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程単位取得満期退学。1987年学術博士(お茶の水女子大学)。現在、北海道大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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