内容説明
本書は、量子カオスの入門的解説書である。前半では、研究の最前線でどのような実験結果が得られ、何に興味がもたれているかを概観した上で、ビリアード系を中心に量子カオスの基礎理論について解説する。後半では、応用として、量子カオスと量子輸送の最先端の話題について言及する。特に、理論と実験が急速に発展しつつあるメゾスコピック量子輸送の具体的問題を取り上げ、カオスとの関連を明らかにする。解説にあたってはself‐containedを心がけ、古典力学系のカオス等についても必要に応じて取り上げるなど、懇切丁寧に述べられている。
目次
第1章 量子カオスとビリアード
第2章 量子輸送とビリアードのカオス
第3章 ビリアード・ボールの運動
第4章 量子ビリアードとコンダクタンスの揺らぎ
第5章 メゾスコピック系の熱・統計力学と半古典理論
第6章 軌道反磁性と永久電流
第7章 単一ビリアードの量子輸送
第8章 バルク量子輸送:線形応答理論と半古典理論
第9章 量子カオス系の非断熱遷移とエネルギー拡散
著者等紹介
中村勝弘[ナカムラカツヒロ]
1968年東京大学工学部計数工学科卒。1968~1970年都立高校教諭。1975年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了(理学博士)。福岡工業大学助教授、同教授、東京大学物性研究所客員助教授、シカゴ大学客員研究員、ブリストル大学客員教授などを経て、現在大阪市立大学工学部応用物理学科教授
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