出版社内容情報
島田荘司選 第17回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作
雪の降りそうな十二月。通報を受けて現場に向かった刑事の紀平と倉城は何者かに襲われた。紀平が意識を取り戻すとそこには、腕を切断された瀕死の倉城が。通り魔、怨恨など様々な線を辿りながら、紀平は過去への旅を始める。
内容説明
雪の降りそうな十二月。通報を受けて現場に向かった刑事の紀平と倉城は何者かに襲われた。紀平が意識を取り戻すとそこには、腕を切断された瀕死の倉城が。通り魔、怨恨など様々な線を辿りながら、紀平は過去への旅を始める。島田荘司選第17回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。
著者等紹介
竹中篤通[タケナカアツミチ]
1988年、三重県桑名市生まれ。医師。京都大学理学部卒業。スズキ株式会社勤務を経て、名古屋市立大学医学部卒業。2024年、本作で島田荘司選 第17回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
136
第17回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作品。「右腕を切断された死体がある」ーこの通報で現場に向かった2人の刑事・倉城と紀平。誰かがいるー襲われ気付いた時、腕を切断され瀕死の先輩・倉城の傍に斧があった。そこから紀平の捜査が始まった。それは18年前のクリスマスイブに起きた・・もしもあの時、あの時誰かが、なんて思っても詮無い事を人は思うのだ。ちょっと長い気はするものの面白く読んだ。読後に気付いた表紙は斧だった・・2025/03/27
ちょろこ
110
テンポがいいミステリの一冊。クリスマスイブの夜、通報を受けて現場に向かった二人の刑事の一人が腕を切断されるという猟奇的不可解な事件から、緊迫感溢れる救命措置といい、序盤から心拍数が上がる幕開け。その後もなぜ相棒は狙われたのか、なぜ腕を切断したのか…主人公の紀平が追う真相は次々とテンポよく変わる場面展開で一気読みの時間だった。後悔や憤りや苦しみをどう消化するか…さまざまな人物を通して伝わってきたのもいい。残念なのは紀平といい医者といい仕事に対してふと漏れる感情が嫌悪感を運んだこと。兎にも角にも次作も期待大。2025/04/21
タイ子
81
さすが、島田壮司の選んだ作品だけあって最後まで読ませてくれます。何と言っても著者が医師だけに細部にわたり描写がリアル。ショッキングな事件の始まり。外部からの通報で駆け付けた2人の機動捜査隊員。ベテラン刑事が斧で片腕を切断され、腹部を切り裂かれる。処置の甲斐なく死亡が確認。一緒にいた若造刑事の言葉や態度が気になりつつも、その後の展開がそれをも忘れさせてくれた。何が目的なのか、犯人の動機が語られる部分は胸が痛くなる程ツライ。運命とはこんなに哀しくて惨いことなのか。ミステリー文学新人賞に相応しい作品を読んだ。2025/04/05
えみ
45
たった一度でも選んではいけなかった選択肢がある。ということだろう。怒りがどこまでも最悪な結末を指し示す。救い?微塵もない。どこまでも続く負の連鎖。個人的にも社会的にも、誰もが誰かを憎み、それが正義となり犯罪となる。それと同時に憎しみの背景には悲しみがあり、憎しみが深ければ深いほど許せないのは自分なのだと思う。通報を受けて現場に駆け付けた刑事、紀平と倉城は突如として現れた何者かに襲われる。そして紀平の目の前には腕を切り落とされた瀕死の倉城。人間関係と過去を洗い出していく刑事に突きつけられた真実は…激苦だ。2025/06/15
rosetta
40
★★★☆☆17回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞。最初は頁数にちょっとビビったが無茶苦茶リーダビリティが良くて1日もかからず読了。作者はお医者さんらしいが警察に恨みでもあるのだろうか?出てくる刑事が揃いも揃って人間のクズ笑。特に主人公なんかこいつが殺されればいいのに、と思うくらい大嫌いになれるキャラꉂ🤣𐤔。腕を切り落とされた人間が死んでいるという通報で現場に駆けつけた主人公と先輩刑事。しかし待っていたのは先輩刑事の死だった。確かにこんな恨みがあったら殺したくもなるよな。誰も悪意があった訳では無いのに2025/06/06