出版社内容情報
人格を表す鼻、歴史を変えた鼻、失われた鼻――。なぜ人は「鼻」に特別な意味をもたせるのか。権力、美、アート、文学――アリストテレスの観相学からクレオパトラ、ナポレオン、そしてレディ・ガガまで、その歴史をたどる。
内容説明
かつて大きな鼻は、知性、勇気、性格、地位の指標とされていた。そのためミケランジェロは折れた鼻の形に一生悩み、クレオパトラの大きな鉤鼻はより強調して描かれ、ダーウィンは小さな鼻のせいで乗船を拒否された。ではなぜ、大きな鼻は時代の流れとともに好まれなくなったのか。そして人はなぜ、鼻を人格の指標としてきたのか。美術史家で嗅覚の専門家でもある著者が、ユニークな図版とともに解説する。
目次
はじめに 鼻の歴史的意義
1章 最も「突出」している感覚器―ミケランジェロの運命を変えた鼻
2章 人格を表す鼻―顔の科学、あるいは観相学の原理
3章 歴史を変えた鼻―物議を醸したクレオパトラの美しさ
4章 立派な鼻は保存しなければならない―鼻の博物館「ナソテック」
5章 デナスタシオ(鼻を取り去ること)と梅毒―失って初めて、大切さを知る
6章 見直された鼻の印象―ロレンツォ・デ・メディチおよびダンテ・アリギエーリのデスマスクの話
7章 レオナルド・ダ・ヴィンチの知られざる一面―鼻の利く調香師
8章 東へ行っても、西へ行っても、我が鼻が一番(ではない?)―東インド会社によって融合した鼻
9章 ダーウィンが危うくビーグル号に乗せてもらえないところだった理由―知識を鼻にかけたラヴァターの影響
10章 ナポレオンの鋭い鼻―十九世紀の鼻科学
11章 私の鼻にケチはつけさせない―童話に描かれた典型的な鼻
12章 文学における鼻―ベルカンポからジュースキントまで
13章 アバンギャルドな鼻―モダンアートの香り
14章 民族的特徴―「ユダヤ鼻」と骨相学
15章 形成外科および鼻形成術―作られた鼻
16章 好戦的な鼻と多用性の尊重―ジョージ・エリオットからレディ・ガガまで
結び ミケランジェロの完璧な鼻
著者等紹介
フェルベーク,カーロ[フェルベーク,カーロ] [Verbeek,Caro]
1980年生まれ。アムステルダム自由大学において、キャレトリアル・スタディズで修士号、嗅覚の文化史の分野で博士号を取得。人文科学、芸術・文化、歴史及び古代史の助教授を兼任している。嗅覚アートを専門とする歴史家及び学芸員であり、2021年よりハーグ市立美術館の学芸員を務め、現在、同美術館で「ピート・モンドリアン&デ・ステイル」の主任学芸員として、美術館及びその他の施設で嗅覚に関するツアーガイドやワークショップを開催している
足立江里佐[アダチエリサ]
1963年生まれ。関西学院大学日本文学科卒業後、株式会社トーメン財務部に勤務。15年間、オランダ語実務翻訳者として活動。主な翻訳分野は経済・産業、医療、法律、環境関連(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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