出版社内容情報
肥満、依存症、暴力、フェイクニュース……進化は目的に適合するように進むはずではないのか?なぜ適応進化に反するような問題を人類は抱えているのか?進化の遺産と現代の人間との齟齬や、定説の真相を軽やかにときあかす。
内容説明
ストレス、肥満、精神的不健康、ドラッグ、フェイクニュース…人類を悩ませる諸問題と適応進化との関係や定説の真相をときあかす。
目次
第1章 歩くおしゃべりサル
第2章 脂肪の話をしよう
第3章 不耐症というパラドクス
第4章 内環境の変化
第5章 ストレス 救世主から殺し屋へ
著者等紹介
ハート,アダム[ハート,アダム] [Hart,Adam]
昆虫学者、グロスターシャー大学科学コミュニケーション学部教授。BBCのRadio4レギュラー・キャスターで、数々のドキュメンタリー番組を担当。100本以上の科学論文を発表。2015年に一般向け科学書『うんちの一生(The Life of Poo)』を著す
柴田譲治[シバタジョウジ]
1957年神奈川県生まれ。翻訳業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Isamash
36
アダム・ハート英国グロスターシャー大学教授(BBCキャスター)2020年著作の訳本。肥満や牛乳耐性に関する遺伝子変異の話題に加えて、内環境の変化として腸内細菌の話が記載されていて興味深かった。腸内細菌のおかげで本来消化不良のものを食べられる。例えば日本人は固有の腸内細菌が居て海藻を食すことができるらしい。そして炎症性腸疾患等種々の疾患の発症にも腸内細菌叢の破綻の関与が示唆されてるらしい。ただ相関は示されているが因果関係はまだ不明確とも。人類の進化というより変化の話題が記載されており、期待とは異なっていた。2022/09/11
jackbdc
14
小気味好いポップ・サイエンス。ヒトに至る生命進化と環境変化の速度の較差が”不適合”を生んでいると指摘。著者は昆虫学者だが形式ばった科学的論証は少な目で、軽妙に現代社会の生活に根差したエピソードを中心に展開するスタイルなのでスラスラ読めるし気軽に楽しめた。上巻は肥満や腸内バクテリアなどの”食べる系”の不適合が中心。個人的に関心を抱いたネタは細菌やウィルス等との共生の話。健康に生きるためにはこれらと共生する事が不可欠。昔からの自然な食べ物を食べて清潔過ぎない環境で生育する必要があるんだなと改めて思った。2022/02/27
スプリント
9
進化論も様々な要素が組み合わさっておりまだまだ研究が必要なようです。2021/06/05
テト
6
現代発展してきている産業革命を含めた生活様式を変えるテクノロジーの変化が、生物としてのミスマッチを増大させてきている内容は、普段の生活に関わるものばかりであり興味深かった。肥満やストレス、不耐症などが上巻の対象だったが、一般的に事実のように言われていることも実は不明な所もあり、著者の考えの中からさまざまな視点で問題点を捉えることが出来た。2021/09/27
本の紙魚
5
先に下巻を読んでから上巻という流れの一冊。現代人が抱えている心身の悩みを、進化論や一般的に言われている自然回帰論を取り上げながら、人類を取り巻く環境の変化が私達にもたらした弊害を論ずる。現代社会のモノ・コトが病気の原因になっていると言い切るかと思いきや「本当にそうなのか?」「確たる裏付けは存在しない」など、著者が理系すぎるゆえのすっきりしない読後感。結局、人体という小宇宙について、現代の科学でもまだまだ未知の部分は多いということだろう。作者の実体験を元にした現代人の1日は、スマホに翻弄されすぎだと思う…。2021/05/12