出版社内容情報
自立へと歩むヴィクトリア朝の女性たちの生活文化を、これまであまり触れられてこなかったファッションの変遷やスポーツへの関心という視点から描いた異色の文化史。次第に機能的になる装いと社会参加の関連が、社会史に新しい視点を与えている。
内容説明
スカートは翻らない。新しい彼女たちの生活と文化の変遷。レジャーの発展とともに女性参加は増え、それにともなって彼女たちのファッションも機能的に変化してゆく―新たな視点からの女性生活文化史!
目次
第1章 レディの日常
第2章 脚は大問題
第3章 スカートは命
第4章 紳士のものまね
第5章 男と女、どっちがどっち
第6章 ゴルフ・スイングは華麗で豪快に
第7章 新しいレディ
著者等紹介
山村明子[ヤマムラアキコ]
家政学者。東京家政学院大学教授。日本女子大学家政学部卒。同大学院家政学研究科被服学専攻修了。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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組織液
12
当時の女性誌を中心に女性のレジャーとファッションの変容を記述した本です。いつもより軽く読んだのですが、19世紀の後半には産業発展に伴い余剰の時間を楽しむことができる層が増え、また鉄道が遠距離への移動を容易にしたことでレジャーを楽しむ人々が現れましたが、女性の場合は今までのコルセットやスカートでは活発に活動できない…そこで今までとは違う合理的、実用的かつ、優雅さなどのファッション性も重要視されたテーラーメイドコスチュームが生まれたみたいですね。女性ドライバーと警官の風刺笑いました。2020/10/24
元気伊勢子
8
19世紀のイギリス女性達もスポーツを嗜んでいた人もいたんだと思うと親近感が湧く。そこから現代に繋がっているのだと思うとワクワクする。2022/05/23
東雲そら
8
啓蒙時代を経て、伝統に基づき保守的であった英国女性(有閑階級者)たちが男性と同じく、様々な野外活動に社交の場を移す様子を服飾を通して知ることができる一冊。それまで服飾は主に男性のもので女性は後追いをする形であったが、社会的な女性の地位向上と共に女性たちが乗馬、釣りや狩猟、登山に旅行などを楽しむようになり、「機能性」と「美」そして従来どおり「淑女としての体面」を両立させるため、ファッションが女性のものとして進化していったように思えた。2019/04/24
あぎる
0
昔のイギリス女性の服飾についての本。19世紀後半から20世紀初頭あたり。活発に動き始めた女性。それでもズボンは穿かない。なぜならレディだから。スカートのままで何とか活動しようと努力する。服飾史ではあるが、無味乾燥ではなく、当時の人々の肉声が聞こえてくる。2020/03/29