出版社内容情報
新たな混沌の時代と共に、アーサーの夢はついえたかに見えた。アーサーは、マーリーンとニムエの協力を得ながら反撃に転ずるが、しかしそこには彼を失意のどん底に陥れる悲劇が隠されていた。
内容説明
新たな混沌の時代が訪れようとしている。アーサーの夢はついえたかに見えた。権力への果てなき欲望をつのらせるランスロット、油断できないサンスム司教の動向、グィネヴィアの密儀。キリスト教徒は暴動のなかで破壊のかぎりをつくす。アーサーはドルイドのマーリンとニムエの協力を得ながら反撃に転ずる。しかし、そこには彼を失意のどん底に陥れる悲劇が隠されていた。
著者等紹介
コーンウェル,バーナード[コーンウェル,バーナード] [Cornwell,Bernard]
1944年、ロンドンに生まれ、エセックスで育つ。ロンドン大学を卒業後、英BBCプロデューサーなどを経てアメリカに移住し、作家活動に入った。代表作シャープ・シリーズやスターバック・シリーズのほか多数の歴史小説や冒険小説を執筆している。2006年には大英帝国勲章を受章した
木原悦子[キハラエツコ]
1960年、鹿児島県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りー
20
ここまでは道化じみたランスロットに注目してきたが、グィネヴィアの描きかたも素晴らしい。全てが破綻した後、ニムエが主人公に「グィネヴィアを軽蔑するな」と語るシーンが好きだ。アーサーは真のグィネヴィアに気付こうとせず、心から愛する飾り物として扱った。どんな男よりも頭が良くて優秀な支配者となれる彼女が、それに絶望するのは当然なのだと。さて、アーサーはこれからどうするのか。マーリンの最期も気になるし、あと2冊も一気読みだろう。2023/12/15
itokake
3
シリーズ4冊目。前回疑問だった大釜は、著者の後書きで解決。ケルト神話で重要なモチーフで、背景として上手に使われている。小説を読んでいてグイグイと引き込まれる瞬間があるが、今回は飲み込まれた。盛り上がり方がすごい。アーサーの妻グィネヴィアについて、ドルイドのニムエ(女性)が語る言葉「伴侶じゃなくライバル」には唸らされる。能力を持つ女性の悲劇であり、単なるランスロットとの不倫という愛憎劇にしなかった事に作者の女性観が出ていて好感。アーサーとグィネヴィアの夢がすれ違い続け、ついに交差した時は、既に遅すぎた…。2020/11/05