出版社内容情報
19世紀末、スフィンクス、ケンタウロスにハルピュイアなど伝説の奇獣の解剖図を『絶滅動物図録』として記し消息を絶ったスペンサー・ブラック博士。その数奇な人生をたどり、代表作『絶滅動物図録』を付したゴシック風味に満ちた奇
内容説明
スフィンクス、ケンタウロス、ハルピュイア…神話・伝説の怪物たちを解剖する。19世紀、天下の奇書『絶滅動物図録』を遺して消息を絶ったスペンサー・ブラック博士。名声と絶望、その数奇な人生と奇獣との接点をたどる、ゴシック風味に満ちた一書。
目次
スペンサー・ブラック博士の生涯(1851‐1868子供時代;1869医学院;1870研究室c;1871‐1877結婚と変化;1878山羊少年;1879‐1887アメリカン・カーニヴァル;1888‐1908人間ルネサンス)
『絶滅動物図録』(有翼スフィンクス;セイレン・オケアノス;山羊サテュロス;ミノタウロス・アステリオン;東洋ガネーシャ;火吹キマイラ;冥界イヌ;ペガサス・ゴルゴネス;東洋ドラゴン;馬ケンタウロス;ハルピュイア・エリニュス)
著者等紹介
ハズペス,エリック[ハズペス,エリック] [Hudspeth,Eric]
作家。米国ニュージャージー在住。『異形再生』が第一作
松尾恭子[マツオキョウコ]
英米翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
80
分類933 奇形に生まれたものを研究した医師博士スペンサー・ブラックの生涯と彼の残した著書『絶滅動物図録』▽解剖学を学ぶため死体盗掘を繰り返し、奇形の人を救う手術を行っていたスペンサー・ブラック博士は、しだいに「伝説上の怪物といわれる生き物は、実在していた」と狂信し、自らの手で怪物を作り出すことにした。マッドサイエンティストの生涯とその生産物。▽ながらく積んでいたけど読了。荒俣宏の推薦帯。3,200円はマニア価格か。2021/08/18
魚京童!
38
この本は、いわば解剖学参考書である。(中略)動物はすべて、本の題名通り、絶滅したとされる動物である。(中略)解説には、非論理的で理解しがたい箇所が見受けられる。ブラック博士は後年、たいへん興奮状態に陥ることがあったようだが、そのような状態の時に書いたのではないかと思われる箇所もある。2014/08/31
うめ
31
妄想なのか幻覚なのか。それとも、猟奇なのか。小説部分も凄味があるが、解剖図に舌を巻く。ある程度骨や筋肉の名前がわかるからこそ、より一層の狂気(著者の)が伝わってきた。良い意味で変態だ。動物や鳥の解剖に詳しければ、より楽しめるかも。ガネーシャの肩甲骨、ケルベロスの第三胸椎、ハルピュイアの鎖骨と叉骨、セイレーンの脊椎。うまいこと骨と筋肉が描かれていて本当に動きそう。個人的にケンタウロスの内臓と生理が気になった。外からみたら見過ごしていたけれど、確かに胸腔と腹腔、二つありますものね。2017/05/28
リッツ
23
図書館で、タイトルで手にし、スケッチの異形さ端正さにひかれて借り出し。私は、ほんの子供の頃から、どういうわけかパーン、スフィンクス、ペガサス、竜などにときめいた。なのでドキドキ…でも、それって奇形なの?実在の遺伝子?そして、これは、フィクション ?!実録?!(ブラック博士って名前があまりにもそれっぽいが)困惑しながら、一息に。血生臭くはあったけど物語としてはこじんまりまとまっていたような、手塚治虫、高橋克彦、夢枕漠などをチラチラ連想。嫌いな怖さではなかった。スケッチは見応えあり、特に骨!2015/08/28
田氏
20
話す前から話は変わるけど、つねづね思うのが、漫画やアニメの猫耳ないしケモ耳全般がどんな内部構造になっているのかということ。垂直耳道が頭蓋を貫いて脳に刺さっているのか?耳介筋はどう張り巡らされているのか?有翼種族の肩甲骨周りのつじつま合わせも気になるし、きらりんレボリューションあたりのキャラクターに至っては頭蓋内の空間次元が4以上になる懸念すらある。いつか解剖学の心得のある人物が疑問を紐解いてくれる日は来るのか。神話の生物については既に本書がその役を果たした。二次元にも医学・生物学のメスの入る日が待たれる。2021/10/15
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