内容説明
坂本龍馬の真価は、史実を追いかけるだけでは見えてこない。行動という“文体”で“思想”を描いた稀代の「小説家」龍馬はいかにして現実と切り結んだのか。リベラルな言説=言葉の純粋性に縛られた、根本的に差別的で息苦しいクソみたいなこの世界を生き抜くために、曰く言い難い龍馬の“思想”を見よ。
目次
1 坂本龍馬とは何者だったのか?
2 坂本龍馬=「小説家」
3 志士の「主体化」について―Part1 武市瑞山や吉田松陰の場合
4 志士の「主体化」について―Part2 坂本龍馬の場合
5 薩長盟約
6 大政奉還
著者等紹介
石川忠司[イシカワタダシ]
1963年東京生まれ。立教大学文学部ドイツ文学科卒、1989年に『修行者の言語中原中也試論』で群像新人文学賞優秀賞受賞。文芸評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
57
坂本龍馬を「散文家=小説家」として、彼の残した手紙や彼についての研究書から、文芸批評をするという、著者も認めるトンデモ本であるが、明治維新とはなにかを無勝手流に論じていく。意表を突く語り口のせいか、実に面白く説得力がある。幕末の知識が乏しいのでなんとも評価しきれないところもあるが、批評ということの可能性を感じさせる。良い本だ。追っている批評家であるが、さすがだと感心。2017/07/18
seer78
4
「小説家」としての坂本龍馬、というのはいくらなんでも無理筋が過ぎると読む前は思ったが、最後には納得させられていた。しかし、この人の独特の散文にはいつも驚かされるよ。龍馬の本質を、〈外向的運動性〉と呼ぶ。分析哲学の言葉の指示理論をも踏まえて、幕末の尊王攘夷運動を論じた部分は圧巻。トンデモ本と言われても(本人が認めているし)この迫力には一読の価値アリ。2010/04/28
小祝
3
坂本龍馬の残した文章等から龍馬を「小説家」(的な感性を持った人間)と仮定することで、薩長同盟や大政奉還等での龍馬の行動や役割を読み解く試み。面白い。ネタ/ベタの話なんかも思い出した2010/02/20
matterhorn
2
文芸批評家が迫る坂本龍馬。福田和也「第2次大戦とは何だったのか」以来の面白さ。文学・思想・芸術・サブカル以外にも適用可能な文芸批評の汎用性を感じた一冊。2010/02/09
Stella
1
文芸評論の方法論で「坂本龍馬」を読み解く2010/02/21