内容説明
「真実を書き留めておくことが私の義務にほかならないのではないか」諮問探偵になるまで、ワトソンが記した数々の事件の深層を、ホームズがみずから語る。そして「モリアーティ教授と空白の三年間」について、起こったことの全てを…。
著者等紹介
日暮雅通[ヒグラシマサミチ]
1954年生まれ。青山学院大学卒業。英米文芸、ノンフィクションの翻訳家。日本文藝家協会、日本推理作家協会会員
北原尚彦[キタハラナオヒコ]
1962年生まれ。青山学院大学卒業。日本推理作家協会、日本SF作家クラブ会員。作家・翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Die-Go
40
一人シャーロック・ホームズ祭り第28弾。「大空白時代」を埋めるホームズの一人語り形式のパスティーシュ。まさかあの「彼」と3年間を過ごしていたとは、と思わざるを得ないが、そこら辺はうまく出来ている。結末もまさかの展開。★★★★☆2017/11/01
アルクシ・ガイ
6
ホームズの自伝形式。いわゆる「大空白時代」にスポットをあてているのが、いかにもリアル。もしホームズが自伝を書くとしたら、生い立ちからずらずら並べやしないだろうからね。「あの彼」と共同生活を送っていたというのも「まさか」と思う一方、「いや、ありうる」となぜか納得もする。チベットよりドイツの方が本当っぽいしね。ときおり混じるワトソンへの思いも、つかず離れずで、こちらもリアル。「あの彼」の新たな魅力を、そして弱さを読者に見せてくれて、泣ける一冊です。2016/01/30
宙太郎
1
老境のシャーロック・ホームズ自身が語る「最後の事件」から「空き家の冒険」までの”大空白時代”の真実。ストーリーの面白さもさることながら,その話をいかに原点と矛盾させずに着地させるかが作者の腕の見せどころ。その点でも本作は実に周到に考えられていて面白かった。2021/06/17
Cinejazz
1
ラインバッハの滝で、宿敵モリア-ティ教授と格闘の末に命を絶ったホ-ムズだったが、読者からの抗議を受けて無事帰還した。その失踪期間中のホ-ムズは何処で何をしていたのかを、大のシャ-ロキアンの著者がまことしやかに物語るシャ-ロック・ホ-ムズのパロディ。この著者の想像力には「アッ!」と驚くが、自由な発想でスト-リ-を紡ぐにも弛まぬ研究と研鑚の成果の顕われと、つくづく感心した。2018/08/20
つける
1
ホームズ自身が語る「空白の三年間」についてのパスティーシュ。 ワトスンに対してどれだけ申し訳なく思っていたか……とか、 アメリカで何をやっていた、とかかなり楽しい一作。 しかし、教授のアレはかなりくるものがある。 「あの銃」に関する話もなんとも……。