出版社内容情報
クラウゼヴィッツやリデル・ハート、マハンと並び、「地政学」の祖にして戦略論の大家の名著がこの度ついに復刊!
内容説明
国際関係を常に動態力学的に把握しようとする“ハートランドの戦略論”の全貌。地政学の祖マッキンダーの幻の名著。
目次
第1章 われわれの前途によせて
第2章 社会の大勢
第3章 船乗りの世界像
第4章 内陸の人間の世界像
第5章 さまざまな帝国の興亡
第6章 諸国民の自由
第7章 人類一般の自由
補遺 一九十九年一月二五日、ケドルセーの一事件について
付録(地理学からみた歴史の回転軸(一九〇四年)
球形の世界と平和の勝利(一九四三年))
著者等紹介
マッキンダー,ハルフォード・ジョン[マッキンダー,ハルフォードジョン][Mackinder,Halford John]
1861‐1947年。オックスフォード大学で法律を学びさらに地理学に転じた。オックスフォード大学地理学院初代院長。ロンドン大学政治経済学院院長等を歴任。1910‐1922年、下院議員。現代地政学の祖
曽村保信[ソムラヤスノブ]
1924年(大正13)東京生まれ。1947年(昭和22)東京大学法学部卒。元東京理科大学教授、著述業。2006年(平成18)没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
WATA
76
地政学の古典的名著であり、地政学という分野そのものを生み出す原点となった本。ヨーロッパとその周辺の地形(平野・山脈・川や湖など)から、大帝国の国境線の位置や国家間のパワーバランスについて考察している。なぜそこに大帝国が誕生したのか、戦争における戦略上の要所はどこか、といった内容を古代帝国から第一次世界大戦までの歴史に沿ってダイナミックに描き出しており、読むと歴史と地形の見方がガラッと変わる。ヨーロッパの細かい地名や国名がどんどん飛び出してくるので、地図帳や歴史教科書を参照しながら読むとより楽しめます。2014/08/31
esop
74
地図を見、地図について語る習慣は、単に戦力の次元ばかりでなく、同時に経済の分野においてもまた多くのみのりをもたらす/巨大な地域を大陸の心臓地帯(ハートランド)と名づける/国際管理の最も効果的な方法はある一定の国を人類全体の受託者として、これにすべてを委任することだとおもう/まず政治家が思い切ってバランスのとれた国民生活、そしてバランスのとれた地方自治に肩入れをする意見を表明することである/シーパワーがランドパワーと均衡をたもつためには、結局において水陸両用的な性格を帯びるほかない2024/10/23
molysk
53
第一次世界大戦後、英国などの民主主義国家にとって望ましい世界秩序とは。世界の対立は、島嶼及び沿岸を支配する海洋国家と、ハートランドと称する内陸部を根拠とする大陸国家の間に起こる。英国らの海洋国家は、強大な大陸国家の出現を恐れる。ドイツとロシアの膨張を防ぐため、東欧に緩衝国家群を成立させよ。これが英国の戦略であった。筆者のマッキンダーは英国の地理学者で、地政学の祖と呼ばれる。古代から近代にいたる国家の興亡を描くのみならず、第二次世界大戦、冷戦、そして現在のロシアと欧米の対立をも予見する戦略論を編み出した。2022/06/25
読書ニスタ
47
国力は、地理的要因に影響を受け、デモクラシーなど政治のあり方も国力と地理的要因に影響を受けている。ジャレドダイアモンドの銃病原菌鉄の要因も加味し、また、温暖化による北海の開通や、情報化社会、自然再生エネルギーなど、新興要因もたくさんあるので、予め世界を予測することは難しい。今日、スカイパワーは死に絶えた。どんな要因がどの程度、影響するのか、思考実験としては面白い。ミクロとしての個人の生き方は、ガンガン行こうぜ!の行動一点張りが益々正解ではないかと。もはや、予め予想できない。2020/05/01
Miyoshi Hirotaka
31
四方を海に囲まれたわが国は、シーパワーを防御力で活用。元寇を水際で阻止し、キリスト教は鎖国で防いだ。コロンブスから四世紀は地理的発見の時代。航路開拓と領有権争いというシーパワーは、19世紀半ばについにわが国にも到達した。一方、ロシアは、アラスカを売却、千島を交換、沿海州を得てランドパワーに集中する戦略を取り、同じ戦略のドイツと二度衝突。20世紀後半から支那がシーパワーとランドパワーの両方に参入、世界を流動化させている。バランスこそ自由の基礎。力が均衡した時に世界の平和が実現する。百年の時を越え示唆に富む。2019/11/07