不安な兵士たち―ニッポン自衛隊研究

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  • サイズ B6判/ページ数 319p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784562041404
  • NDC分類 392.1
  • Cコード C0031

出版社内容情報

この国にとって、自衛隊とは一体なんだ? 「戦いを禁じられた軍隊」は、何にアイデンティティを求めるのか? 気鋭の女性外国人社会学者が戦後最大の矛盾に挑んだ。全国の基地・駐屯地に実際に行き、あらゆる部署・階層の自衛隊員およそ200人に取材した。3年ごしの交渉の末に駐屯地に体験入隊し、若い隊員の声も拾った。戦前の資料から現代の週刊誌の記事まで、厖大な文献を読破し、自衛隊と世界の軍事組織を比較検討した。そして見えてきたものは、実にさまざまな「不安」だった。

内容説明

気鋭の外国人社会学者(女性)が日本社会での自衛隊のあり方を分析。戦いを禁じられた軍隊のアイデンティティとは何か?知られざる自衛隊の実像に迫る。

目次

第1章 駐屯地で(調査対象と方法;本部;隊舎;食堂;演習場;自衛官募集事務所;資料館;名誉の除隊・送別会)
第2章 兵士と隊員のヒロイズム(個人主義と「サラリーマン」;皇軍兵士の影;西洋人気質、プロ意識、アメリカ人男性)
第3章 フェミニスト・ミリタリスト(究極の挑戦;パイオニアと一匹狼;社会通念の打破;再女性化、極端な男性化)
第4章 大衆文化を利用する自衛隊(広報ポスターと民間人化;世界平和と「ピクルス王子」;軍国主義の祝典)
第5章 戦いの記憶、代用の歴史(地域に限定した歴史を作る;戦いの記憶を認証する;戦争と平和の象徴化)

著者等紹介

フリューシュトゥック,サビーネ[フリューシュトゥック,サビーネ][Fr¨uhst¨uck,Sabine]
1965年、オーストリア生まれ。1996年、ウィーン大学にて博士号取得(日本社会学)。現在はカリフォルニア大学サンタバーバラ校教授(近現代日本研究)、東アジアセンター所長。近現代日本の文化と社会、特に、権力/知、ジェンダー/セクシュアリティ、軍事/社会について研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

378
著者はオーストリア生まれで、ウィーン大学で学位を取得(日本社会学)、現在はカリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授を勤める女性研究者。彼女の日本社会学研究の対象の一つとして、今回は自衛隊が選ばれた。自衛隊は私たち自身にとってもたしかに奇妙な存在で、普通に考えれば憲法第9条とは明らかに矛盾する。そんな自衛隊の現在、とりわけ隊員たち(将官から新人、防大生まで)の描く自己像と認識に客観的、学問的に迫った数少ない一書。改憲論議がかまびすしい中、この機会に自衛隊を再考してみようと思う。2022/09/19

たまきら

42
2008年出版、オーストリア生まれのアメリカ人女性(専門は日本社会学!)による、自衛隊研究の本です。実際に隊員とともに時間を過ごして書かれた内容なだけに、2008年当時の隊員の本音や生き方が伝わってきます。特にジェンダー格差の調査が読みごたえがありました。かなりひどいセクシャルハラスメントが横行していることが冒頭から何度も記されていて、なぜこの時点でもっと公にならなかったのか…と悲しい気持ちになりました。ただ、女性が出世できない業界であることは、世界どこでも一緒な気もします。読み友さんの感想を読んで。2022/12/16

自然堂

4
阪神淡路大震災の対応の遅れが自衛隊の能力不足によるものだとか、自衛隊の社会的地位が向上せず、法的にも脆弱なままであるのはドイツが戦時中の行動の責任をとったのに対し、日本は曖昧な立場のままである為だ、とか(実際は両方共村山富市の責任に依るところが大きい)本書の主眼がそういう所にないという事は理解しているが、ある種大雑把ともいえる著者の認識の浅薄さが要所要所で顔を出し、終始喉に刺さった小骨のように引っかかって、本書自体の説得力を貶めているように感じ、素直に読めなかった。2010/03/16

ひろ

3
自衛隊という特異な組織の隊員は何をどう感じそれは何によるものなのか?を海外の社会学者が研究した本。既に10年以上前の本なので相当現状とは異なる部分も多いと思われる。本書では「お国のために死ぬことが美徳」という旧軍のヒロイズムを自衛隊員は暗に否定し、組織としても旧軍との連続性を否定する。前者は「社会のために危険を省みない」というアイデンティティ、後者は資料館などで「1950年代からの歴史の中で自衛隊とはなんであるか」を肯定的に記す形で自らの新たな存在理由を明確化しようとしている。2020/07/19

伊達者

1
2度目の読破とは知らなかった。何にも覚えていない。自衛隊を社会学的な方法で多角的に分析した本。自衛隊を巡る環境は本書出版の2008年からも大きく変化しているが,自衛隊そのものは大きく変わっていないのではないだろうか。本書が力を注ぐジェンダーに関してはセクハラ体質が世間の大きな注目を浴びている。女性自衛官は昇進を重ねイージス艦の艦長も生まれている。自衛隊のマークである桜や鳩に関する分析など思いがけない指摘もあって自衛隊について気づかされることが多かった。でも自衛隊の軍事的実力については、半信半疑。2023/05/06

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