内容説明
著名女流作家の邸宅に「ミステリ講座」と称して集められた人々。ある夜、「天の声」と呼ばれる鐘の音に、人々はたたき起こされた。そこで秘書の老女が殺されていた。なぜ犯人は殺害後にあえて鐘など鳴らしたのか。そして老女が死ぬ前に語っていた謎めいた言葉の意味は…。黄金時代の名バイプレーヤーによる本格推理、ついに邦訳。
著者等紹介
ナイト,クリフォード[ナイト,クリフォード][Knight,Clifford]
1886年アメリカ。クレイトン・ロースンやデイリー・キングらと肩を並べる黄金時代の名バイプレーヤーとして評価される。英文学教授ハント・ロジャーズを探偵役に据えたシリーズで人気を博した
森英俊[モリヒデトシ]
1958年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。翻訳家、評論家。ミステリ洋書専門店Murder by the mailを運営。編著書に日本推理作家協会賞受賞作『世界ミステリ作家事典 本格派篇』など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
koo
10
お屋敷で起こる連続殺人事件という本格黄金時代らしい作品でした。銃声や銅鑼の音などの小道具もいい雰囲気を出していました。登場人物紹介からタイミングよく殺人事件、捜査、大団円とオーソドックスに展開するんですが、捜査の大部分が証拠に頼らない当てずっぽうの推理で時間が割かれるのが退屈、本格のフォーマットに落とし込んだテキストみたいといったら言い過ぎですが、登場人物のキャラ造形は浅く、ストーリーもあまり印象に残らないです。懐かしの本格を探している方が求めるある程度の水準はクリアしていると思います。2025/08/31
紅はこべ
10
巻末に手がかり索引がつくという、デイリー・キングのオベリストシリーズを思わせるような作風だが、索引については、オベリストの方が出来は良い。オベリストは実際の手がかりを示しているけれど、この作品はどちらかというと伏線かな。2008/06/19
ホームズ
5
「事件を解く29のヒント」を探しながら読んでみたけど、なかなかわからなかった(笑)読みやすく面白かったと思う。2008/01/16
やっす
4
米国黄金時代の隠れた実力派クリフォード・ナイトのミステリ初邦訳作品です。いいですねぇ、こういうの。クイーンの様に切れのあるロジックがあるわけではないが、謎の作り方やその解明などは巧みで、作者のセンスが感じられます。探偵役に個性がない点や、解説で指摘されている様な細かい欠点はあるにせよ、端正なフーダニットの佳作だと思います。巻末の手がかり索引も遊び心があって好き。このシリーズは文庫で出したら結構いけるんじゃないかなぁ。どこかやってくれる出版社さんはないものだろうか。(^_^;)2014/01/29
nemuo
3
古典ミステリの隠れた名作。とされるものなんだけど他にも面白い作品ある中で敢えて読むほどでもないかな。ある館で起きた殺人事件に巻き込まれた素人探偵たちがいろいろ推理する。連続殺人で容疑者にされたりするのになぜか本人たちに緊張感が感じられない。巻末の「手がかり索引」など”雰囲気”を感じれるのは良いが、肝心のミステリとしての質はそこまで高くないのが残念。2025/02/27