内容説明
聖アントニオの奇跡!泳ぐことさえできなくなった元天才水泳選手が自殺しその「原因」を作った医師が殺害された。しかし不可解なことに、離れた場所であったにもかかわらず、同じ時間に同じ拳銃が使われたというのだ―。
著者等紹介
島田荘司[シマダソウジ]
1948年、広島県生まれ。武蔵野美術大学卒業。81年に『占星術殺人事件』で衝撃的デビューを果たし、その後も「御手洗潔シリーズ」「吉敷武史シリーズ」を軸に、話題作・問題作を世に問い続けている。また死刑問題や自殺問題を日本人論としてとらえて発信し続け、ミステリーの枠を超えた幅広い読者の共感を呼んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
36
占星術師から脳神経医学者となった御手洗君の話とハイリンヒ、石岡君の手紙から構成される物語。表題作は知らなかったことが愛する人の魂を永遠に殺してしまったという悔恨が辛く、だからこそ「聖アントニオの奇跡」として片づけられるのが妥当な解決なんだと思います。「人魚兵器」の人間のエゴから生まれたもの達に「ごめんなさい」と言いたくなります。2013/03/17
ねなにょ
20
『人魚』が共通して関わっている4つの短編集。表題作の『溺れる人魚』は、実際に起こったロボトミー殺人事件を基に、描かれているよう。『人魚兵器』も恐ろしい。元気のない時に読むと、ちょっとキツイ。2016/11/09
きさき
16
★★★☆☆:短編集。ミステリーとしては普通だったけど、非常に勉強になった。面白いと思う。2017/12/26
ちどり
15
「溺れる人魚」元水泳オリンピック選手は病気(psas)になり、手術を受けるも、人が変わったかのように無心な人間になり ある日拳銃自殺を遂げる。不思議なことに同じ時刻に、手術を行った医師も拳銃で亡くなっていた…「人魚兵器」御手洗シリーズでお馴染みの、人体実験でのキメラ生成のお話「耳の光る児」耳の光る赤子が4人生まれた。国も人種も違うのに、ほぼ同時期に発言していた。その神秘な現象を御手洗さんが謎解く「海と毒薬」遠藤周作を思い出すタイトル。石岡さんに届いた女性からのファンレターと彼女自身に起きた不幸な恋愛話。2014/12/22
🤍
10
全4編からなる短編集。人魚という童話チックなものをテーマにしてるけど歴史や医学に絡ませてるのがどこか新鮮だった。民俗学ミステリとか好きなのでこういうのも好みだなぁ。あと綺麗だな〜と思ってた表紙の絵、調べたらウォーターハウスだった、好きな画家なので嬉しい。2020/08/23