内容説明
人類を魅了し、交易や戦争など歴史をも動かしてきたスパイス。代表的な約六十種を中心に、人間とスパイスが織り成してきた壮大な物語を読み解く。スパイスと人間の歴史全体を見渡す、食の文化史。国際グルメ協会『世界の料理書大会』英語部門最優秀賞(2000)。食物研究家協会「今年の最も優れた本」(2001)。
目次
第1章 世界史のインセンティブ
第2章 スパイス貿易の起源
第3章 母なるマレー群島
第4章 かぐわしき東南アジア
第5章 中国、悠久のスパイス
第6章 スパイス王国、インド
第7章 恵み多きアラビア
第8章 地中海世界の繁栄
第9章 新大陸での発見
第10章 人類史としてのスパイス
著者等紹介
ドルビー,アンドリュー[ドルビー,アンドリュー][Dalby,Andrew]
1947年生まれ。言語学者、歴史学者。英国言語学会名誉特別会員。1996年に発表した「料理におけるアレクサンドロス大王の遺産」と題する論文では、食物史の優れた研究に対して与えられる「ソフィー・コウ賞」を受賞。フランス在住。執筆のかたわら、ガーデニングやりんご酒造りにいそしんでいる。『スパイスの人類史』で、国際グルメ協会『世界の料理書大全』英語部門最優秀賞受賞(2000)。さらに、食物研究家協会「今年の最も優れた本」(2001)に選ばれる
樋口幸子[ヒグチユキコ]
東京生まれ。早稲田大学卒業。翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
俊介
12
          
            今では世界中に普及しているスパイス。それらの原産地はどこで、また、いつ頃発見され、どのようなルートで交易され広まっていったかを辿る。意外だと感じたことも多く、面白い。取り上げられる種類がまた豊富!(ハーブは除外)。なかには生薬やアロマとして使われるようなものも含まれ、その線引きは曖昧だったことが分かる(むしろ混同されがちなハーブとの違いの方が明確)。人類を航海に駆り立て、歴史を動かしてきたスパイス。それを手にするためなら時に戦争も辞さないほど。そのスパイスの「魔力」って一体何なのだろう、と考えさせられる。2021/09/13
          
        noko
3
          
            人は珍しい物を追い求める。スパイスは限られた地域でしかとれず少量。ヨーロッパ人にとって世界の果てにあった。スパイスの為に他国を侵略植民地にした。生姜は中国とインドネシアに野生がある。マルコポーロは四川省で生産し利益を出していると書いていた。ヨーロッパ人は生をサラダに入れてた。砂糖もスパイスの一つ。元は中国南部の竹蔗で変異でサトウキビになった。粉砂糖はインド人が発明。医療用だった。玄奘が行ったマガタ人は中国にサトウキビ栽培を教えた。麝香は6世紀コスマスも麝香鹿が殺される事を知っていた。医者は盛んに処方した。2025/10/27
          
        刻猫
2
          
            東と西の交易ルート。金銀以上の価値を持ち得たスパイス。香辛料、香料としての利用。祭祀、医療のためのもの。多岐にわたる言及の引用。2015/12/12
          
        もとせ
1
          
            263頁【これまでの歴史家が言っていることも、注意深く吟味する必要がある。誤りが気付かれずにいつまでも通用し続けることはよくあるのだ。二十世紀のある歴史家は、外国の食物にあまり詳しい方ではなく、スパイスは腐りかけた肉の臭いを隠すために使われるのだと教えられて(たぶん母親からだろう)、そう思い込んでいた。現在、イギリスで書かれたいくつかの歴史書が、中世の料理に関してこの説を取っている。(中略)昔の料理本では、むしろスパイスそれ自体の味や香り、保存効果、薬効を目的として、スパイスがふんだんに使われている。】2017/05/18
          
        千鶴
1
          
            「「あなた方は年老い、疲れている。それはあなた方が飲んでいるチョコレートと、食べている食物のせいだ。それらがあなた方を損ない、弱くしたのだ」。この伝説で明示された禁欲の奨励にもかかわらず、アステカ族は万能の香辛料チリを食べることをやめなかった。(彼らが宗教的な断食日にチリを口にしないのは確かなようだが)。彼らはタバコを吸うのをやめなかった。そしてもちろん、彼らはチョコレートを飲むこともやめなかった。」(チョコレート――甘く危険な風味)2015/05/21
          
        

              

