内容説明
一九六四年、終戦後から海外を移り住む複雑な少女期を過ごしICUに入学した著者は、学生通訳として、広島、長崎の被爆者が体験を語ることで核兵器廃絶を訴える「世界平和巡礼」の旅に出る。…それは、理想と現実に揺れ動く一人の女性の、米国青年との恋、結婚、出産、離婚、育児、仕事、病魔と折り合いを付けた円熟期へと連なる、型破りで真摯な生涯への旅立ちでもあった。
目次
プロローグ―二〇〇〇年秋
1 恋(未知への船出;青春の旅;優柔不断の恋;アンデスに降る雨)
2 愛(愛しすぎる不幸;愛するということ;娘の誕生―あかねさす;別れ―半人前の愛)
3 仕事(三七歳の再出発;通訳という仕事;歴史を伝える報道通訳;思い出の通訳)
4 病気と回復(乳がんと肺塞栓;いのちを生きる;引き継ぐいのち)
5 収穫の季節(娘の成長;橋をかける仕事;日残りて、暮れるに未だ遠し)
エピローグ―二〇〇三年秋
著者等紹介
篠田顕子[シノダアキコ]
1966年、国際基督教大学卒業。米国および豪州の大学で国際関係論と社会学を学び、修士号取得。メルボルンのモナシュ大学日本学科で八年間教えて帰国。通訳に転じ、NHK衛星放送を主な舞台に国際問題を中心とした報道・会議等の同時通訳者として活躍。2004年度より東京国際大学言語コミュニケーション学部教授も勤める
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感想・レビュー
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kika
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30年位前に出会った「今日からあなたの英語は変わる!」というカセットテープのついた本の共著者である篠田さんのことが気になっていて読みました。真剣に、真摯に生きていくひとりの女性の物語でした。2015/08/03
maria375
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同時通訳のパイオニアとして、東西冷戦の雪解けや湾岸戦争など歴史の立会人となった著者の半生記。日本人女性として異国で生きること、国際結婚とその終焉、通訳としてのキャリア形成、親子関係、病との闘い。いずれにも真正面から向き合い、答えを求め、折り合いをつけていくその姿勢に感服。2012/12/17
youxi
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日英の通訳者(会議通訳、放送通訳など)として有名な篠田さんの自伝的な本。通訳の勉強方法や通訳としてのキャリアについて何かヒントが得られればと思って手にとってみたが、むしろそういった点より著者がアメリカ人の夫との関係で苦労したことや国際結婚の苦労(日本への郷愁や文化的な背景の違いからどうしても乗り越えられないコミュニケーションの壁など)といった点に共感してしまった。クリントン元大統領のスピーチを同時通訳した際に、ある言葉の解釈をめぐって批判を受けたことについてなど、改めて通訳の難しさについても認識させられた2009/05/20