内容説明
格調高い文体で語られる英雄ベーオウルフの二つの戦いの物語。固有名詞の表記を北欧の読みにあらため、全面的に改稿された決定版。
著者等紹介
サトクリフ,ローズマリ[サトクリフ,ローズマリ][Sutcliff,Rosemary]
1920~92年。イギリスを代表する歴史小説家。1959年、すぐれた児童文学にあたえられるカーネギー賞を受賞し、歴史小説家としての地位を確立した。1975年には大英帝国勲章のOBE、1992年にはCBEが贈られている
井辻朱美[イツジアケミ]
東京大学理学部生物学科卒、同大学院人文系研究科比較文学比較文化修了。「水の中のフリュート」30首で、第21回短歌研究新人賞、『エルリック・シリーズ』(ムアコック、早川書房)で第17回星雲賞海外長編翻訳部門、『歌う石』(メリング、講談社)で第43回サンケイ児童出版文化賞をそれぞれ受賞。早川書房、東京創元社、講談社などでファンタジーの翻訳、紹介、創作にたずさわる。現在、白百合女子大学文学部助教授
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感想・レビュー
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Die-Go
54
図書館本。古代北欧に住まったベーオウルフ王の冒険を描く。格調高くはあるものの、簡潔な文体のため、非常に読みやすく、あっという間に読み終えてしまった。しかし、その戦いは壮絶で、充分に満足できるものだった。『指輪物語』のトールキンが影響を受けていることがありありと伝わる内容で、その辺りニヤっとさせられた。★★★★☆2017/10/27
星落秋風五丈原
27
井辻さんも述べてらっしゃいますが、物語のタイプは「アーサー王伝説」と対極。女性の出番が極端に少ない。前半、ベーオウルフが訪ねてきたデンマーク王妃は、2度ほど侍女を従えて出てくるだけ。女性の出番が少ないので ロマンスの要素が排除されています。 訳を担当された井辻さんの解説と、訳がとても分かりやすかったので、 全く「ベーオウルフ」について知らず、内容を知りたい方には最適だと思います。 訳は、全くの現代語風ではなく、もともと叙事詩であったことから、 幾分読み言葉の部分を残していますが、読みにくくはないでしょう。2002/10/26
mizuha
20
八世紀頃に書かれた叙事詩を、平易ながら格調高く、サトクリフが現代に蘇らせた。叙事詩というのは、なかなかに敷居が高いけれど、枝葉を削ぎ落とし、ベーオウルフの人間性を際立たせた物語は、分かりやすくて興味を惹かれる。それがサトクリフの手になるとすれば、言わずもがな、である。2014/12/05
ソルト佐藤
15
岩波文庫の原典も読んだけれど、こっちもやっぱり超マッチョ。雄度が高い(笑 グランデル相手に鎧を脱ぎ出して、肉体だけで戦おうとするべーさん、脳筋すぎ(笑 二回目としてみるとグランデル母は、悪というわけでもなく、母親の怒りだったのかなと思うところもある。しかし、本当、ベーオウルフ以外のキャラは活躍せず、武器も鎧もまったく役に立たない。ただ、ベーオウルフの肉体だけが心に刻まれる話。2021/07/18
もよ
13
本来のベーオウルフは現存する数少ない古英語の叙事詩とのことで読みにくそう(岩波文庫がこれの直接の訳のよう)だが、これは現代英語訳(?)されたものを日本語訳したものなのでとても読みやすい。良くも悪くも古き良き英雄譚と言うべきもので、文章はとてもドライだ。2016/06/04
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