出版社内容情報
終戦間際、航空士官候補生と若き海軍兵士の奇跡の決死行!
海防艦「屋代」と陸軍航空士官学校生の終戦
満州での訓練のため、海防艦で海を渡った航空士官候補生が遭遇したソ連参戦~敗戦の現実。奇跡の海防艦「屋代」の戦記。共に死線を超えた者の使命感と五十年を隔てた友情の再会。
内容説明
太平洋戦争末期、日本周辺の海空はアメリカ機動部隊に制圧され、沖縄も米軍の手に落ちていた。そんな状況下で、400名の士官候補生を千トン足らずの海防艦単艦で満州へ輸送する計画は、恐ろしく危険な作戦だった…不沈海防艦を巡る奮戦と友情の暦。
目次
第1章 海防艦「屋代」(舞鶴空襲;遙かに望む満州の ほか)
第2章 壮途につく(海上で;通い合う心、陸海の戦士たち ほか)
第3章 決死敢闘三千キロ(百キロの死の行軍;鹿爺洞でのこと ほか)
第4章 戦いすんで(満州に入る;最後の決断 ほか)
第5章 秋風修武台(「兵隊さんありがとう」;貴様、まだ分からんか! ほか)
著者等紹介
岸見勇美[キシミイサミ]
1933年島根県松江市生まれ。早稲田大学法学部卒業。化学工業日報記者、産業一部長、政経部長、編集局次長、取締役編集局長、同編集主幹を経てフリージャーナリストに
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感想・レビュー
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anemone
1
「海防艦の任務は傷ついても斃れても航行可能な限り必ずや母港に帰らなければならない。特攻機のようにいさぎよく散ることは許されない」被弾し激痛に苦悶する中、気付けば傍らにいた仲間が無惨な姿へと変貌している恐怖、混乱…。おじいちゃん、貴方の見た地獄絵図を、繰り返し思っています。貴方を70年間、苦しめ続けた弾丸は、やっと貴方の身体から消え去りました。もう痛みはありませんか。おばあちゃんは、あの笑顔で迎えてくれましたか。寡黙だった分、胸の内に熱く灯し続けた反戦への願いを、僅かでも繋げさせて下さい。2011/12/22