アーサー王最後の戦い―サトクリフ・オリジナル〈３〉

サトクリフ，ローズマリ【著】〈Ｓｕｔｃｌｉｆｆ，Ｒｏｓｅｍａｒｙ〉/山本 史郎【訳】

原書房（2001/05発売）

• サイズ B6判／ページ数 265p／高さ 20cm
• 商品コード 9784562034086
• NDC分類 933
• Cコード C0097

内容説明

アーサー王、王妃グウィネヴィアとランスロットの愛と葛藤。モルドレッドの憎しみ。死の国アヴァロンへの戦いがはじまった…。壮絶な最後三部作完結。

著者等紹介

サトクリフ，ローズマリ［Ｓｕｔｃｌｉｆｆ，Ｒｏｓｅｍａｒｙ］
１９２０～９２年。イギリスを代表する歴史小説家。はじめ細密画家をこころざすが文筆に転じ、３０を超える作品がある。１９５９年、すぐれた児童文学にあたえられるカーネギー賞を受賞し、歴史小説家としての地位を確立した。『ともしびをかかげて』や『第九軍団のワシ』（ともに岩波書店）、『ケルトの白馬』（ほるぷ出版）のような児童向け歴史小説のほか、『アーサー王最後の戦い―サトクリフ・オリジナル〈３〉』や『アーサー王と円卓の騎士』や『アーサー王と聖杯の物語』、『ベーオウルフ』（沖積舎）などイギリス伝承の再話、成人向けの歴史小説、ＢＢＣ放送のラジオ脚本なども多くてがけ、１９７５年には大英帝国勲章（ＯＢＥ）が贈られている。豊かな物語性と巧みな構成力、詩的な文章で彩られた魅力的な登場人物などで、イギリス最良の伝統をうけつぐ、第一級の歴史ファンタジー作家として、世界的にも有名である。日本においても、近年つぎつぎと翻訳書が刊行され、サトクリフの評価はいっそう高まっている

山本史郎［ヤマモトシロウ］
１９５４年、和歌山県に生まれる。１９７８年、東京大学教養学部教養学科卒業。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻はイギリス１９世紀文学。訳書に『図説アーサー王物語』『ホビット』『図説ケルト神話物語』『トールキン　仔犬のローヴァーの冒険』『絵物語ホビット』『アンデルセン・クラシック９つの物語』『アーサー王物語伝説魔術師マーリンの夢』『サトクリフ・オリジナル　アーサー王と円卓の騎士』『サトクリフ・オリジナル２　アーサー王と聖杯の物語』（以上原書房）、『アンティゴネーの変貌』（共訳、みすず書房）などがある
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ヴェルナーの日記]

著者サトクリフによる”アーサー王”物語3部作の最終巻。アーサー息子のモルドレッドが裏切りブリデン王座を簒奪する。両者は対峙し戦いとなってアーサーは辛くも勝利を治めるが、自身も深い傷追ってアヴァロンの島へと旅立つ。自分の記憶ではランスロットとガウェインの戦いはもっと凄惨を極めた場面だった記憶していた。たしかガウェインは日中は無敵で何物にも傷つくことがなかったので、ランスロットといえどかなり手こずったと思っていた。

2017/05/14

[ケイ]

この3部作の最後は、どこまでサトクリフが生み出した話しなのかな。読んでいて気分が悪くなった。悪に容易く操られるのはイヤだ。マロリーの「アーサー王の死」をきちんと読み直そう。

2020/07/30

[明智紫苑]

ホワイト版とサトクリフ版の関係は吉川三国志と横山三国志の関係みたいだね。ランスロットの外見が不細工で、グィネヴィアが黒髪というのも、モードレッドのキャラクター設定も、明らかにホワイト版を意識している。しかし、それで作品の価値が損なわれるのではない。アーサー王伝説初心者にはオススメのシリーズだ。バーナード・コーンウェルのアーサー王三部作はこのシリーズとホワイト版（並びにひかわ玲子版）を読んでから挑戦すべし。

2016/08/25

[星落秋風五丈原]

アーサーを憎む腹違いの姉モルゴースが自分の出自を隠してアーサーを誘惑し息子をもうける。アーサーは知らぬうちに姉との間に禁じられた関係を結んだ。その息子モルドレッドは母モルゴースからアーサーへの憎悪を受け継ぎながら育ちアーサーの宮廷にやってくる。アーサー王が築き上げてきたものを破滅させる計画を実行し始める。

2001/07/02

[棕櫚木庵]

サトクリフ作アーサー王物語の最終巻．全体を貫くプロットがあるせいか，3巻中一番面白く，一日で読み切ってしまった．▼聖杯探求の終了と時間の流れとによってキャメロットの円卓は淋しくなる．そして，モルドレッドの悪だくみによりランスロットとグウィネヴィアの恋が抜き差しならぬ状況に追い込まれ・・・．世俗に疲れた者の最後の避難所たる聖なる場所で閉じられる恋．▼グリーン『アーサー王物語』(岩波少年文庫)の最後の4章に相当するが，グリーン版よりはるかに印象深かった．現代の読者に向けて語り直すという作者の試みが一番成功→

2021/08/22