内容説明
未開拓の歴史を追求して二十年。さまざまな時代、さまざまな戦場で心ならずとも捕虜になった日本人のそれぞれに異なる姿を網羅した百科全書的モニュメント。
目次
日本軍における捕虜観念の形成
空閑大隊長の自決と爆弾三勇士―美談の誕生
蜀の山道を超えて―白浜軍曹の捕虜脱走記
あヽ鶴よ―ノモンハン戦の残留捕虜たち
ノモンハン空戦に生きて―生還した宮島曹長
中国戦場の日本人捕虜
太平洋戦争期の日本人捕虜―展望
再開した捕虜同期生―酒巻和男と豊田穰の軌跡
米本土の日本人捕虜
ワレ今ヨリ自爆セントス―一空事件悲話
フェザーストン収容所の銃弾―雨降って地固まる
カウラのラッパ(南忠男の死;小島正雄の場合)
豪州戦域の日本兵捕虜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
更紗蝦
29
日経新聞で連載中の『ふりさけ見れば』(安部龍太郎・著)を読んで「白村江の戦い」で日本人の捕虜がいたことを初めて知り、詳しいことが知りたくなって「白村江」「捕虜」で検索をかけ、見つけたのがこの本でした。一番気になっていた「白村江の戦い」の捕虜に関する記述はほんの僅かしかなかったので、その点は期待から外れましたが、「戦陣訓は国民的捕虜観への追認だった」「日本軍では捕虜になったときの心得やジュネーブ条約の存在さえ教育していなかった」という指摘や、日本軍捕虜の心理に関する分析は、とても興味深く読みました。2021/10/12