内容説明
米国の極東政策の失敗による日米戦争の必至と戦後の米ソ対立を予言。方法論的確かさでジョージ・ケナンや入江昭らに注目された幻のメモランダムとウォルドロン海軍大学教授の解説。
目次
第1部 「マクマリーのメモランダム」とその時代(メモランダム作成にいたる背景;「メモランダム」の作者マクマリーのプロフィール;メモランダムの起源;メモランダムの内容;メモランダムの評価;結びのまとめ)
第2部 極東情勢の展開とアメリカの政策―マクマリーの「メモランダム」(ワシントン会議以後の極東情勢;中国激動の期間―一九二二年~一九二六年;中国民族主義者による動乱の時代;現在(一九三五年頃)の状況)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Fumi Kawahara
2
中国に一方的な条約破棄を言い渡され、国際世論にその不当を訴えるも取り合ってもらえず、泣く泣く中国の条件を呑むベルギー。中国に対して太っ腹でいい顔を見せたい米国。自国の利権保護のために単独譲歩する英国。かくて、列強間による中国の安全保障の枠組みであるワシントン体制(九か国条約)が、皮肉にも当の中国自身によって掘り崩され行く。その先にある日中衝突と、日中間に介入し、日本に勝ったとしても日本の背負っていたものを米国が肩代わりするだけだと予想したマクマリーのメモランダムをまとめた一冊。今、とってもタイムリーな一冊2013/11/30
フンフン
1
ワシントン体制崩壊の決定打は、幣原外交終焉をもたらした満州事変であったが、その以前に列国の協調体制が崩れていたのだった。ワシントン会議に参加したのは北京政権だったが、国民政府が中国を制覇すると、中国は条約を一方的に否認する態度に出た。これを列国が協調して条約を守るよう圧力をかけるのでなく、個別に中国の歓心を買うような対応をした。これに失望したことが、ワシントン会議当時外務大臣だった内田伯が「焦土外交」に転換する伏線だったのだ。2019/01/31
Tokutaro Kimura
1
敗戦から71年。多くの犠牲者を出した戦争について私たちの国は総括できていない。日本史は授業時間の関係か明治期までくらいで終わったような記憶がある。どこで日本の外交政策は間違ったのか、何が問題だったのか、そしてそれを今後どのように活かしていけばいいのかを真剣に考え、国民のコンセンサスを得ておく必要があると思う。この本はワシントン条約後の中国と列強の動きを知り、また米国がどのように対応したのか知ることが出来る良質な資料といえる。2016/08/15
コン
0
中国びいきという言葉を忘れてはいけないと思った。2013/06/30
Katsusuke Taira
0
test2019/02/17