内容説明
ベトナム戦争での苦しい経験をバネに、アメリカは〈湾岸戦争〉に勝利した。その基礎になったものこそ、孫子、クラウゼヴィッツ、ジョミニの戦争哲学の徹底した読みこみだった。洋の東西、時代のへだたりを超えて語りかける古典の智恵。
目次
戦略―過去の理論と現代における実践
孫子とクラウゼヴィッツの比較
文体と方法論
戦争の定義―分析レベルの問題
敵の計画を攻撃すること及び「重心」の概念―東洋の心理学及び西洋の力学
政治の優越と指揮官
戦争における合理的見積もり―手段と結果の相互関係
奇妙な三位一体の第一要素―国民総武装
理想と現実―流血なき勝利と決定的戦いの探究
兵力数の優勢と勝利
欺瞞、奇襲、諜報及び指揮・統制
軍事指導者の役割
指揮官の資質
戦場環境と指揮官の直観
勇敢と熟慮
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きりまん次ゃ郎
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クラウゼヴィッツと孫子そしてジョミニの著作の内容の相違点・相似点をそれぞれの著作の視点の違いや背景をもとに比較、論じている。特に孫子とクラウゼヴィッツという地域も時代も違う二人を中心に幅広い視点から戦争の各要素を検討しており、そこから導かれる考えは興味深かった。クラウゼヴィッツと聞くと難解そうなイメージが沸くが平易な文体で内容も非常にわかり易い。2013/09/09
ひととせ
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クラウゼヴィッツの戦争論や孫氏の兵法を一から読むのは様々な理由から困難であるが、それぞれの要旨を比較しつつまとめた本書は軍事に関係する者として非常に参考になった。 ベトナム戦争での敗北を契機に戦略・作戦・戦術のレベルを再考した米軍の考え方について理解できた。 一見して正反対に近い著述がある戦争論と兵法だが実は表裏一体であることが分かる。2024/03/04