内容説明
『ロシアン・ドクター』待望の続編!モスクワ医大外科主任教授で詩人の著者がニューヨークの亡命生活を通して“診た”アメリカ…そして祖国ソ連。透徹した医師の目で二つの国を浮彫にするヒューマン・ドキュメント。
目次
1 「地上の楽園」に着いて(穴のあいた「鉄のカーテン」;ニューヨークのなかのロシア;はじめての私有財産 ほか)
2 煉獄のなかで(サタンの誘惑;ロシアを去った理由;生き地獄;整形外科技師として就職;アメリカの自由;やっとパスしたTOEFL;医師免許は手にしたが;あきらめきれない整形外科;29年も若返った私 ほか)
3 アメリカン・ドクターとして(薬を盗む入院患者;極度の疲労感;多すぎる自由 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
1978年、ソ連からアメリカへ妻と息子と共に移住したユダヤ系の整形外科医のアメリカ社会への定着するまでの艱難辛苦の日々を綴った本。前作「ロシアン・ドクター」は優秀な整形外科医だったにも関わらず、ユダヤ系であるために差別され続けた自分が、いかにソ連に決別したかについての本だったが、この本は正にニューヨークに一家が到着するところから始まる。英語はわからない、アメリカ社会に関する知識も経験もない、社会主義国とはかなり異なる資本主義国の価値観への違和感等、移民には多くの壁が立ち塞がっていた。心が折れそうになる。2023/02/28