感想・レビュー
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印度 洋一郎
3
1970年代末に、アメリカに移住したソ連の整形外科医が、ソ連での自分の人生を振り返った回想録。著者は、ソ連ではトップクラスだったらしい整形外科医だが、ユダヤ系で非共産党員であるという経歴のために、その半生を通じて、差別的な扱いに苦しみ続けた。勿論、亡命者の証言だから、ソ連に対する恨みつらみがあるのは当然だが、ロシア社会にある強烈な反ユダヤ感情、共産党の官僚主義による非効率で貧しい生活、本人の能力よりも政治的思想の方が優先される人事などなど、ソ連社会の嫌なところがたっぷり。フルチショフやガガーリンも登場する2018/01/03