感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
CTC
11
80年原書房刊。47年7月迄に記され、60年に防衛庁防衛研究所戦史室で37部のみ資料として印刷されたものが底本(本書となる迄、本文中の変更点は新かな遣い対応と句読点追加のみという)。現在は日経ビジネス文庫『日本陸軍終焉の真実』として復刊。著者は陸士34期三羽烏のひとり。軍歴の殆どを陸軍省要職で過ごした対米戦開戦時の東条陸軍大臣秘書官。同著者の『昭和陸軍秘録』は著者ならではの話がありつつ要点が纏まった良書であるが、これは構想を練ったインタビュアーが話を引き出す妙なのだ。本書も面白いが焦点が定まらないねぇ。2023/06/10
フンフン
1
和平の方策について、著者は「自分としては今に至るも自信をもってこうすればよかったという案も言い出し得ない」と述べている。和平の方策は簡単である。満州事変の時点で、昭和天皇は「奉天を張学良に還(かえ)してしまえば問題は簡単ではないか。陸軍がバカなことをするからこんな面倒な結果になったのだ」と言った。これさえ実行すれば、盧溝橋事件でも、日米交渉でも和平は可能だったのだ。かつては、勝海舟など大陸の権益が亡国につながることを予見していた。昭和になると天皇以外先見の明ある人がいなくなったのが悲劇だった。2019/11/01