出版社内容情報
米中関係の悪化は、トランプ政権下の2010年代半ばに急激に進み、特に2019年の香港大規模デモとその強圧的な封じ込め以降、さらに激化した。現在も緩和の方向には進んでおらず、EV(電気自動車)への関税の強化など、むしろ米中対立は強まっていると言える状況にある。
一方、ロシアのウクライナ侵攻への国連決議でロシア非難に回らない国が、インドを始め多数あるように、中国へも「親中」あるいは中立を保ちたいという国は極めて多い。さらに先進国でも例えばフランスは、大統領が訪中の際、極めて異例の厚遇を受け、米国も閣僚が頻繁に中国を訪問している。
このような動きとなる背景として、ニーズに適合する形で世界各国が、否応なく中国に依存している現状があり、また中国も世界との関わりを望んでいる。
2019年に刊行した『図解中国経済』でその分析・解説が広く評価された著者は、かねてより世界各国の対中戦略に注目してきた。本書では9つの主要国を中心に、外交・政治・社会、そして特に経済という切り口から、中国との関わりを豊富な図表を活用し分析、その多様なあり方を解説する。
その上で、日本のみならず世界も甚大な悪影響を受ける「米中新冷戦」を避けるため、ともすれば米国の方針に追随しがちである日本が、中国はもとより米国に対しても対立緩和へ向かわせるべく、同志となり得る主要国とどのように連携できるのかを説く。
私たちに理解しにくい中国の論理も、その歴史や経済構造も踏まえ1部を割いて解説する本書。加えてそもそも、取り上げた9つの主要国は米中新冷戦を防ぐためだけではなく、日本にとっても重要な国々である。日本がこれらの主要国とお互いの国益を最大化していくにあたり、把握することが欠かせない各国の国情を簡潔にまとめており、極めて有用。
内容説明
欧米のリーダーたちが今も中国首脳としばしば会談を持っているのはなぜか?グローバル・サウス諸国は、どうしてウクライナに侵攻したロシアを非難しないのか?中国、そして9つの主要国の政治・社会・経済を豊富な図表で分析、米中対立を新冷戦にしないための方策を探る!
目次
第1部 中華人民共和国の成り立ちと対外関係(国家としてのあらまし;国際経済との関わり;中国が批判される「国内」問題)
第2部 西洋諸国と中国(世界一の超大国米国;米国も一目置く戦略的自律の国フランス;中国の近くに位置する西洋文明の国オーストラリア)
第3部 近隣アジア諸国と中国(ASEANでガリバー的な大国インドネシア;ASEAN最大の社会主義国ベトナム;日本と立ち位置が酷似する隣国韓国;南アジアの超大型途上国インド)
第4部 その他の国・地域と中国(ラテンアメリカで最大の途上国ブラジル;米国を敵視する軍事大国ロシア;中東諸国;アフリカ諸国)
結語 米中新冷戦を防ぐために、日本は何をすべきか?
著者等紹介
三尾幸吉郎[ミオコウキチロウ]
1982年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。1982年日本生命保険相互会社入社、証券部、資金債券部、ファンド運用室で国内債券運用を担当。1994年同社国際業務部付けで渡米、リーマンブラザース社(ニューヨーク)、パナゴラアセットマネジメント社(ボストン)で米国債券市場調査を担当。1997年同社資金証券部でグローバル証券運用、運用開発を担当。2000年ニッセイアセットマネジメント株式会社入社、運用企画室でグローバル資産配分を担当した後、運用フロントで投資信託運用部長、統括部長(債券)を担当。2024年同社客員研究員に就任。現在は世界経済アナリストとして活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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