出版社内容情報
「顧客中心」に類するフレーズを目にすることが多いが、顧客に直接接する機会が少ない業務に携わる社員にとってこのフレーズは、どのような意味を持つのだろうか。事業が提供する商品やサービスを、最終的に利用する顧客=最終顧客のことを、日々の業務で強く意識することは難しいだろう。
本書は、Patient Centricity(患者中心)の考え方が急速に普及しつつある製薬企業をモデルケースとして、その考え方が従業員の心理や行動に及ぼす影響を検証する。製薬企業にとって最終顧客である患者と、直接接することは法律で強く規制されており、従業員は最終顧客と接する機会はほぼない。
製薬企業で薬の研究開発に従事してきた経験を持つ筆者は、ある日患者の講演会に参加し、自分の仕事の意義を再認識、そこから最終顧客志向と従業員・組織の業績の関係を追究したのが本書である。
その結果、従業員や組織が最終顧客を志向し、最終顧客を知る活動を推進することは、従業員のワーク・エンゲイジメントを向上させ、さらに組織のパフォーマンスも向上させる可能性が示された。
各部の終わりには、検証内容の実務的な示唆を解説する章を設けるなど、実務家の読者の理解を助ける工夫もなされ、また筆者の製薬企業での経験に基づいて書かれたコラムも大変興味深い。仕事の意義を見失いがちなビジネスパーソン、組織モチベーション向上を目指す経営層におすすめしたい。
また学術的にも、「最終顧客志向」を推進する組織と従業員への影響に関し、組織行動論の視点からの接近はこれまで十分に検討されておらず、貴重な研究成果と言えよう。
【目次】
序 章 顧客志向の理論的背景と問題定義
第1部 製薬産業と Patient Centricity
第1章 製薬産業の特性と顧客構造
第2章 Patient Centricity とは何か
第3章 製薬産業の文脈における検証課題と研究方法
第2部 最終顧客志向の意義
第4章 誰を見て仕事をするか?
第5章 従業員の最終顧客志向を高めるために
第6章 実務家への示唆:組織の視点,個人の視点からみた最終顧客志向
第3部 最終顧客志向の組織行動モデル
第7章 「最終顧客を知る」ことが従業員にもたらす効果
第8章 製薬企業における Patient Centricity の組織行動モデルの検討
第9章 実務家への示唆:パフォーマンス発揮につなげる最終顧客志向のマネジメント
終 章 最終顧客志向の組織行動論
おわりに:「顧客のために」を個人と組織の力に変える
内容説明
最終顧客を知る活動が、社員の心理・行動に与える影響を検証し、個人のパフォーマンスにポジティブに作用するメカニズムを解明。最終顧客志向は、組織の競争優位の源泉となりうることを示し、仕事の意義を見失いそうなビジネスパーソン、組織のモチベーション向上を模索する経営層に、多くの示唆を与える研究成果!
目次
顧客志向の理論的背景と問題定義
第1部 製薬産業とPatient Centricity(製薬産業の特性と顧客構造;Patient Centricityとは何か;製薬産業の文脈における検証課題と研究方法)
第2部 最終顧客志向の意義(誰を見て仕事をするか?:異なる対象への顧客志向の比較分析;従業員の最終顧客志向を高めるために:組織の理念はいかにして従業員に届くか;実務家への示唆:組織の視点、個人の視点からみた最終顧客志向)
第3部 最終顧客志向の組織行動モデル(「最終顧客を知る」ことが従業員にもたらす効果;製薬企業におけるPatient Centricityの組織行動モデルの検討;実務家への示唆:パフォーマンス発揮につなげる最終顧客志向のマネジメント)
最終顧客志向の組織行動論
著者等紹介
前川友裕[マエカワトモヒロ]
博士(技術経営)。2015年大阪大学卒業、2017年同大学院医学系研究科博士前期課程修了。その後製薬企業に勤務し、医薬品の毒性研究に従事。2024年立命館大学大学院経営管理研究科専門職学位課程修了、2026年立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科博士後期課程修了。現在は独立系コンサルティングファームにて、主に中堅・中小企業に対する人事制度策定・改善・運用支援等のコンサルティング業務に従事。専門は組織行動論、人的資源管理論、技術経営(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



