出版社内容情報
日本企業において、ダイバーシティ・マネジメントという「言葉」が定着し、各企業・組織おいて制度拡充が進められるようになって久しい。しかし、必ずしもそれが成果につながっているとは言い難いのが実情である。
本書では、多様性を成果につなげる考え方として、組織における帰属感と自分らしさの発揮の両方が実現されている状態である「インクルージョン」の概念に着目する。この言葉は元々、社会福祉や教育の分野で使われ始めたが、昨今、企業経営の場においても耳にするようになった。経営学の視点からこの概念を丁寧に整理し紐解いた上で、インクルージョン認識を積極的に活かしている企業と、形式的なダイバーシティ・マネジメントのみ行う企業との事例比較を行い、どのような取り組みがインクルージョン認識を高めるのか、また、インクルージョンを用いることでどのような組織成果が得られるのかを具体的に示し、真に多様性を活かす経営のメカニズムを提示する。
インクルージョンの本質を詳らかにし、それをわかりやすく実際に使える概念に落とし込んだ意欲的な研究書であり、研究者はもちろん、ダイバーシティ施策に取り組みつつも成果につながらないと悩む実務家にとって、多様性を活かすとはどういうことなのか、そしてそれを成果につなげるためには何が大切なのか、といった点で、新たな視点や示唆を得られるであろう。
【目次】
序 章 インクルージョン・マネジメントの探求に先立って
第I部 先行研究と研究課題
第1章 ダイバーシティにかんする先行研究
第2章 インクルージョンにかんする先行研究
第3章 日本企業の人材マネジメントにかんする先行研究
第4章 研究課題
第II部 事例研究
第5章 事例:男性総合職モデル企業
第6章 事例:インクルージョンを活かす企業
第III部 総合的考察と結論
第7章 事例研究からの総合的な考察
第8章 結論
目次
インクルージョン・マネジメントの探求に先立って
第1部 先行研究と研究課題(ダイバーシティにかんする先行研究;インクルージョンにかんする先行研究;日本企業の人材マネジメントにかんする先行研究;研究課題)
第2部 事例研究(事例:男性総合職モデル企業―インクルージョン認識のプロセスとその要因;事例:インクルージョンを活かす企業―インクルージョン認識のマネジメントとその効果)
第3部 総合的考察と結論(事例研究からの総合的な考察―ダイバーシティ・マネジメントからインクルージョン・マネジメントへ;結論)
著者等紹介
船越多枝[フナコシタエ]
大阪女学院大学国際・英語学部准教授。外資系企業を含む複数の企業での勤務を経て、日系企業でダイバーシティ推進、国内外の人材開発、企画管理などにマネジャーとして携わる。2013年神戸大学大学院経営学研究科専門職学位課程現代経営学専攻修了(経営学修士:MBA)、2019年神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了。博士(経営学)。2017年大阪女学院大学国際・英語学部専任講師。2019年4月より現職。2021年度神戸大学大学院経営学研究科研究員。研究分野:組織行動論、ダイバーシティ&インクルージョン・マネジメント、企業における人材開発及び働き方(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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そ吉
ERIKOF