出版社内容情報
特に先端科学における研究開発は長期にわたり、また巨額の投資も求められるため、その過程において経営的に極めてインパクトの大きい意思決定が発生する。しかし経営学では、マーケティングや組織などで行われている「事実的判断」については、多くの議論や研究がなされているものの、このような研究開発における意思決定でしばしば行われている、「不確実性下における」「価値的判断」についての研究はほとんど見当たらない。
本書は、このような研究開発プロセスにおける経営者の意思決定を取り上げ、オーラルヒストリーという手法を用い、ある製薬企業の事例について追究、その経緯を明らかにする。
製薬企業に限らず、経営者は価値的判断を必要とされる。それを考えるヒントとなろう。
栗原 道明[クリハラ ミチアキ]
著・文・その他
目次
第1部 不確実性下における経営の意思決定(本研究の概要;先行研究)
第2部 オーラルヒストリー(方法論の議論;研究対象選定の理由―免疫抑制剤タクロリムス;分析の枠組みと調査方法)
第3部 画期的新薬タクロリムスの創薬・開発と経営者(新薬創出の背景;テーマ決定と研究環境の整備;プロジェクトの始動と課題克服;新薬タクロリムス製造承認、販売)
第4部 研究開発における経営者の役割(事例研究のまとめと分析;結論―経営者の関わりと今後の課題)
著者等紹介
栗原道明[クリハラミチアキ]
1953年10月1日生まれ。博士(経営学)。1982年慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了(MBA)。大手製薬会社に30数年勤務。その間、経営企画部門、医薬品事業企画、グローバルビジネス(海外駐在含む)、アジア事業、生産、国内営業企画、流通、業界活動等幅広く経験。事業企画部長、国内子会社社長、営業本部副本部長、海外子会社副社長等を歴任。2012年神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程に入学。博士後期課程に在籍する中、今までの製薬企業での経験とアカデミアでの研究を融合させ三品和広研究室で研鑽を積む。2015年「経営者と医薬品研究開発―画期的新薬の実証研究を通じて」の論文で学位を取得、神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。現在IQVIAソリューションズジャパン(旧IMSジャパン)企画渉外部長、愛知淑徳大学非常勤講師、日本経営学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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