目次
知的財産の保護と公共的利益の確保
第1部 問題事例とその解決策1―情報通信・コンテンツ分野(情報通信・コンテンツ分野における知財の公私問題と解決への取り組み;オープンソースと著作権;デジタルコンテンツと著作権;データベースの知的財産制度にもとづく保護)
第2部 問題事例とその解決策2―生命・医療分野(遺伝子研究と知的財産政策;ヒトES細胞の法的保護と生命倫理;TRIPS協定における医薬品アクセス問題;生物多様性条約と知的財産制度との調和)
第3部 制度論的問題解決策(保護および利用のバランスと特許権の排他性に関する若干の考察;国際関係論における知的財産権問題:国際知的財産レジームに関する一試論;競争政策と知的財産政策;ライセンス・ガイドラインと知的財産権の集合的管理)
著者等紹介
隅藏康一[スミクラコウイチ]
1970年東京都生まれ。最終学歴:東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程修了(工学博士)。現職:政策研究大学院大学政策研究科准教授。現在、日本知財学会理事、研究・技術計画学会理事、知的財産マネジメント研究会(Smips)総合オーガナイザー等も務めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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absinthe
48
著者や監修者は、どちらかというと行政側に近い。OSSにかんする記述を読んだがGPLに関する解釈などは、司法関係者と見解が異なる様だ。産業政策系の人はGPLを許諾宣言とみなすが、司法関係者に相談するとたいてい契約と見なしている。OSS以外はまだ読んでないが、いろいろ司法関係者の見解とも比較検討したほうがよさそうだ。これは、あくまで意見として読むべきだろう。2017/04/27
壱萬参仟縁
10
TPPの交渉テーマの一つであるので重要。5年前の本でTの字は出てこない。国内法は知的財産基本法がある(83頁)。各章は論文から成っており、相当脚注が充実している。医薬品についてのTRIPS協定(知的財産の貿易関連の側面に関する協定 152頁)もTPPに関連してくる。問題なのは途上国側が医薬品に特許が認められるとアクセス権が阻害され、南北格差をも助長させる(154頁)とのことなので、TPPでこうした問題は肥大化しよう。抗レトロウィルス薬価格は、ウガンダでは10分の1になると需要が50倍とのこと(163頁)。2013/03/13