出版社内容情報
家族経営というと遅れた経営のように聞こえがちであるが、そもそも日本を代表する企業であるトヨタやサントリーなどもファミリービジネスであり、中小企業まで含めれば圧倒的多数がファミリービジネスと言えるだろう。近年、長期的な視点に基づく経営が可能となるなど、その積極的な意義が見直されているのと同時に、特に日本では事業承継が課題となっており、経営学でも注目のトピックの一つである。
本書は、英語で出版された本の邦訳で、原著は北米・中南米・欧州・中東・アジアのファミリー企業の最新ケーススタディを含む、世界のファミリービジネス研究を元にわかりやすくまとめた定番である。
本書は、ファミリービジネスのガバナンスの目的は、経済的価値と心の豊かさを持続的に向上させる基盤を築くことにあるとし、ファミリービジネスの持つ可能性を高めつつリスクを抑えるため、ファミリー企業のガバナンスにアプローチするための実践的な手法を示している。
日々、ファミリービジネスに関わっている訳者たちが、現場でも活用すべく翻訳、そして出版の運びとなった。分かりやすく編集された本書は、日本でも定番となるだろう。
目次
第1部 ファミリーとビジネスのための組織構造:ファミリービジネスのガバナンス(高度なファミリービジネスのガバナンスを通じて成功を極大化する;ファミリー企業のガバナンスに関する課題;ガバナンス、構造、システムの進化;ファミリー企業における責任あるオーナーシップ)
第2部 ビジネスのための機関設計:ビジネスガバナンス(専門的経営者等を擁する取締役会;CEOとその承継;管理手法と統制システムの利点)
第3部 ファミリーのための組織構造:ファミリーガバナンス(ファミリー評議会および最高ファミリー責任者;ファミリー慈善活動とファミリー慈善財団、ファミリーオフィス、ファミリーの富と財産管理)
第4部 ガバナンス構造の文書化:ファミリー憲章(ガバナンス・コードを活用したガバナンスの構築;オーナー一族のためのファミリー憲章:手続きと文書化;ファミリービジネスガバナンスの将来)
著者等紹介
ケーベル=シュミット,アレキサンダー[ケーベルシュミット,アレキサンダー] [Koeberle‐Schmid,Alexander]
アレキサンダー・ケーベル=シュミット博士は、経営者の家系に生まれた経済学者である。博士号は、ファミリー企業における取締役会とファミリー評議会に関するものである。彼は、有名なコンサルティング会社やファミリービジネス・アドバイザリー事業体で勤務した経験を持つファミリービジネス・アドバイザーでもあり、中規模から大規模の多国籍オーナーファミリーに、ガバナンス構造、経営承継、取締役会、ファミリー協議会、ファミリーオフィス、ファミリー慈善事業、ファミリー憲章などの、オーナーの戦略に関連する課題に対するアドバイスを提供している。また、紛争仲裁人や、中堅ファミリー企業の非常勤役員を務めた経験もあり、講演や講義を頻繁に依頼されている
ケニョン=ルヴィネ,デニス[ケニョンルヴィネ,デニス] [Kenyon‐Rouvinez,Denise]
デニス・ケニョン=ルヴィネ博士は、スイスのIMDでファミリービジネスに関するワイルド・グループ教授とグローバル・ファミリービジネスセンターの共同ディレクターを務めている。20年近くにわたり、アジア、中東、欧州、北米、南米の超大型ファミリービジネスに幅広く携わり、複雑なガバナンスや資産管理を扱うことに精通している。主な専門分野は、ガバナンス、後継者、リクイディティ・イベント(M&AやIPOなど)、オーナーシップ、財産、慈善事業などである。また、ソリューション・フォーカス・コーチングの認定コーチであり、Lifo認定ライセンシーの認定も受けている。ファミリービジネスに関する多くの書籍や記事の執筆をしており、その研究成果でいくつかの賞を受賞している。フランス語圏スイスにおけるファミリービジネス・ネットワーク(FBN)支部の創設者兼前会長であり、ファミリー・ファーム・インスティチュート(FFI)のフェローおよびメンターでもある
ポザ,アーネスト J.[ポザ,アーネスト J.] [Poza,Ernesto J.]
アーネスト・J・ポザ(イエール大学卒業、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院MBA)は、国際的に有名な一流の講演者であり、ファミリーが所有し、運営する事業体全般に関するコンサルティングを行っている。サンダーバード国際経営大学院でグローバル・アントレプレナーシップとファミリー・エンタープライズの特任教授を務めている。講演者、コンサルタント、会社役員として、戦略的思考、後継者育成、チェンジマネジメントを通じて、成熟したビジネスを活性化させるよう経営者に働きかけている。また、ファミリービジネス・レビューとジャーナル・オブ・ファミリービジネス・ストラテジーの編集委員を務めている。戦略的経営、後継者育成、成長、ガバナンスについて、非上場企業やフォーチュン500企業のトップマネジメントに助言してきている
平野秀輔[ヒラノシュウスケ]
博士(学術)・公認会計士・税理士。RSM汐留パートナーズ税理士法人統括代表社員。中央大学大学院戦略経営研究科ビジネス科学専攻(博士後期課程)修了。ファミリービジネス学会会員
前川研吾[マエカワケンゴ]
公認会計士・米国公認会計士・税理士・EMBA。RSM汐留パートナーズ株式会社代表取締役社長CEO、RSM汐留パートナーズ税理士法人パートナー。北海道大学経済学部経営学科卒業、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(EMBA)修了。ファミリービジネス学会会員
瀬尾安奈[セオアンナ]
公認会計士。瀬尾安奈公認会計士事務所所長。RSM汐留パートナーズ株式会社社外監査役。北海道大学経済学部経営学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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