出版社内容情報
フランス流のアプローチ
ここ数十年、ポピュリズムという名の政治運動が、各国の選挙で注目を集めている。その思想の根本には民衆とエリートの対立という視点があり、それが現代の社会状況において新しい衣をまとって回帰している。その背景には、欧米における第二次大戦後の社会構造の変化――脱工業化社会の出現、グローバル化の進展、多国籍企業に代表されるいわば「匿名の」権力の拡大、新自由主義的EUの発展など――がある。こうした社会変化に適応できない民衆の不満・不安に答えたのがポピュリズムである。
著者パスカル・ペリノーは、政治学者でとりわけフランスの右派政党・国民戦線(FN)研究の第一人者である。長年所長を努めたパリ政治学院政治研究センターでは、大統領選挙、国民議会選挙、欧州議会選挙、地域圏議会選挙などの分析において中心的役割を果たしてきた。その著者が豊富な事例とともにポピュリズム現象を総括する。
内容説明
フランスの右翼政党「国民戦線(FN)」研究の第一人者であり、これまで大統領選挙、国民議会選挙、欧州議会選挙等の分析において中心的役割を果たしてきた著者が、十九世紀後半のロシアやアメリカを起源とし、この数十年で多元的な様相を帯びるポピュリズム現象を、豊富な事例とともに総括する。
目次
第1章 現象の特質(非理念的アプローチ;理念的アプローチ;復活か発明か?)
第2章 ポピュリズム現象を測定する(ヨーロッパにおけるポピュリズムの着実な拡大;二〇一九年におけるポピュリスト諸勢力の状況;権力の座についたポピュリズム)
第3章 ポピュリズム現象の原動力(脱工業化社会の経済的不調;国外への開放がもたらす社会的・文化的不安;代表民主主義への不満;移民の拒絶;EUという怪物;グローバル化が生み出す匿名的社会に対する敵意)
第4章 将来―ポピュリズムと民主主義の問題(民主主義仮説の弱点;民主主義の背景の変化;民主主義崇拝の悪影響
著者等紹介
ペリノー,パスカル[ペリノー,パスカル] [Perrineau,Pascal]
1950年フランス北東部モーゼル県生まれ。パリ政治学院名誉教授、政治学者。フランスの国民戦線研究の第一人者
中村雅治[ナカムラマサハル]
1945年静岡県生まれ。1980年上智大学大学院国際関係論専攻博士課程満期退学。1994年上智大学外国語学部フランス語学科教授。在職中、パリ政治学院、グルノーブル政治学院客員教授。現在上智大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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中島直人
PETE
まつだ