出版社内容情報
科学認識論を生命科学や医学の領域へ広げた哲学者の、青年時代の言論活動から独自の生命哲学、哲学教育論まで幅広く紹介する。
内容説明
カンギレムは、フランスの科学認識論を、生命科学や医学の領域へ広げた哲学者である。本書は、カンギレムの愛弟子であり、フランス科学哲学界を代表するルクールによる解説書。その青年時代の言論活動から、独自の生命哲学、哲学教育論にいたるまで幅広く紹介する。
目次
第1章 妥協を知らない哲学者の反逆の青年時代
第2章 医学の哲学
第3章 歴史的科学認識論?
第4章 哲学
第5章 哲学を教えること、教えることの哲学
著者等紹介
沢崎壮宏[サワザキタケヒロ]
1971年生、京都大学大学院文学研究科博士課程(哲学専攻)認定退学(1999年)、カン大学DEA(2000年)、文学博士号取得(2002年、京都大学)。現在は、大阪教育大学ほか非常勤講師
竹中利彦[タケナカトシヒコ]
1971年生、京都大学大学院文学研究科博士課程(哲学専攻)認定退学(2000年)、ルーヴァン・カトリック大学DEA(2001年)、文学博士号取得(2003年、京都大学)。現在は、京都市立看護短期大学ほか非常勤講師
三宅岳史[ミヤケタケシ]
1972年生、京都大学大学院文学研究科博士課程(哲学専攻)認定退学(2004年)、文学博士号取得(2007年、京都大学)。現在は、香川大学アーツ・サイエンス研究院准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さえきかずひこ
12
愛弟子によるカンギレムの入門書。1921年からアンリ4世高校でアランに哲学を学んだ(P.11)という記述ではたと気づいたが、彼はシモーヌ・ヴェイユの兄弟子なのだ。長じて教壇に立ちながら、自ら対独レジスタンスを組織し、1936年からは医学における哲学の問題ーそれは突き詰めれば生命倫理であるーを探究するため、医学生になる。科学に対する技術の優越を唱える「科学認識論における反実証主義的な方向転換」(P.116)を明確にし、反権威的できわめて実直な教育者として滾るような熱と共に長命を保った彼の姿が活写される良書。2020/02/12
ポカホンタス
4
今までとっつきにくくてよく知らなかったフランス科学哲学だったが、本書ではバシュラールの話もたくさん出てきたので、バシュラールとカンギレムをセットにして(本当は良くないのだろうけど)大まかにでも理解できたことは嬉しかった。特にカンギレムは医学の勉強をして医者になった人で、その上で医学の哲学を統計ではなく「生の側に立って」「生の規範性」を中心に考えているのが興味深い。バシュラールとカンギレムの著作、読んでみよう。2019/01/05
☆☆☆☆☆☆☆
1
直弟子による評伝。知に先立つ経験、科学に先立つ技術を追究した人という理解でよいのかしら。本人の書いたものもいずれ2013/05/05
amanon
1
カンギレムは僕が院生時代に扱ったアルチュセールに影響を与えたということで、かねてから興味を持っていた哲学者。その人をアルチュセールの門下生でもあった著者が著したカンギレムの概説書ということで、かなり興味を持って手に取った。百頁強というやや少なめの頁数ではあるけれど内容はかなり濃い。少ない言葉で多くのことを伝えることができるフランスの文化状況と日本との落差を思い知らされる。個人的には頁数の制約があったにせよ、できたらアルチュセールとカンギレムとの関係についてもう少し言及して欲しかった。2011/10/04




