内容説明
十三世紀初め、大学は、ボローニャなどで誕生した。このヨーロッパ・モデルが世界中へと広がり、それぞれの地域で独自に成長をとげていく。本書は、その足跡をたどり、制度の変容と、繰り返されてきた改革について紹介する。大学をめぐる議論が高まるいま、必読の解説書。
目次
第1部 中世の大学から、アンシアン・レジームの大学まで(中世における大学の誕生とその躍進;大学と中世文化;近代の大学、権力、社会(十六~十八世紀)
近代における大学の危機と改革)
第2部 大革命以後(第一の革新―学問か、それとも職業か(一七八〇年頃~一八六〇年頃)
第二の変革―研究か、それとも社会的開放か(一八六〇~一九四〇年))
総決算―一九四五年以降のあらたな大学の世界へ
著者等紹介
岡山茂[オカヤマシゲル]
1953年生まれ。早稲田大学政治経済学術院教授
谷口清彦[タニグチキヨヒコ]
1977年生まれ。上智大学大学院博士課程在籍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ラウリスタ~
14
クリストフ・シャルル目当て。意外にもドイツの大学は19世紀には英仏米に対してモデルとなっていた(ドイツに追いつけ)。英仏は「大学」なるものに対する理念が硬直的だったが、アメリカでは「ビジネス・スクール」なんていう「学問ではない」と思われていたものの大学院までできる(ハーヴァードのは1908)(それを現代日本人が知のトップだと見るのは、それは違うぞと思うのだけど)。19世紀フランスでは法学、医学部の権威が高く(修学期間が長く、学費も高い)、文学、理学などは(一年制、安い)、志願者も少なく教師の給料も低い。2021/05/13
渓流
3
思った内容と若干違っていたが、大学は、「新たな大衆としての学生を受け入れながら、増え続ける予算を食いつぶすセクターになっているとはいえ、民主主義の欠如に苦しむ国々にとっては19世紀の欧州においてと同様に、政治的な抑圧を最初に批判しうる場の1つである。13世紀から大学が経験してきたあらゆる変化にもかかわらず、この批判と言う機能は、社会的な諸勢力によって脅かされながらも7世紀にわたって続いてきた、大学と言う知的冒険にとっての真の赤い糸なのである」という結論に甚く同感する。2009/11/16
たぬき
1
フランスだから フランスモデルを ちょいと 濃い目に2012/12/13
Natsuko Anastasia Ariyama
0
読んだ本に追加2014/06/10
Steppenwolf
0
週間金曜日の書評でをみて本書を購入した。欧州の大学中心の説明であった。なかでもドイツに関する記述が多い。日本では一部意外危機的状況にある。その状況の中本書に述べられているイタリアにおけるファシストによる大学改革が印象に残った。すなわち大学を3グループに分け一番弱いところの予算を削るというものであった。まさしく現代の日本で行われていることである。大学ランキングに関しても記述があり結局伝統校が高位にランクされるようにできているように思った次第である。要するにランキングを当てにするのは少なくとも知的怠慢である。2009/12/15