内容説明
象でアルプスを越えたハンニバルの逸話で知られるカルタゴは、地中海において強大な勢力を広げた都市国家である。本書は、その誕生からローマと三度も戦火を交えて滅亡するまでの歴史と、政治、軍制、産業、文化、宗教について解説する。二十世紀の発掘成果も取りいれた、古代地中海史の入門書。
目次
フェニキア人の植民運動とカルタゴの建設
最古のカルタゴの歴史
カルタゴの領土拡大
カルタゴ人の航海
シチリア島のカルタゴ人
カルタゴとローマ
カルタゴ市
政治制度と公の職務
社会の仕組み
海軍と陸軍
商業と農業
建築と芸術
神、信仰および祭祀
言語と文字
カルタゴ文明は滅んだか
著者等紹介
石川勝二[イシカワカツジ]
1940年生まれ。1970年名古屋大学大学院修了。古代ローマ史専攻。愛媛大学教授を経て、椙山女学園大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中島直人
5
(図書館)読了。翻訳は読みにくいが、謎多きカルタゴについて、その歴史や文化を一通り概観できる。2021/11/01
bapaksejahtera
5
クセジュらしいテーマの書籍である。カルタゴは累次のポエニ戦役によって壊滅し、敗者の歴史情報は当然に偏頗し、かつ少ない。その後カルタゴの母国フェニキア共々イスラムの支配が続き、遺跡や文物は限られる。本書はその中で前12世紀に遡る建国から紀元前後の壊滅に至る通史記述の後文化産業宗教言語等について略述する。エトルリアとの関係はもう少し詳しく知りたかった。通商民族が強力な海軍を立ち上げた経緯等も資料的制約があるようだ。セム系言語フェニキア語由来で本来子音だけで構成されたアルファベットの発達について別途読もう。2020/11/01
雲をみるひと
4
碑文や発掘成果等からカルタゴの来歴、地誌、文化、風俗等を纏めた本。訳本なので日本語がわかりにくい箇所はあるが、纏め方は秀逸でわかりやすい。葬祭や信仰等発掘成果からの推論で興味深い内容はあるが、全体的に資料不足でわからない点が多い実態。歴史上の敗者の実態を明かすことは難しい。2018/05/21
Annette1
3
裏表紙に「古代地中海史の入門書」とあるが、前半のカルタゴ通史の部分が簡略かつ、固有名詞が何の断りもなく出てくるなど入門者には不向きな内容に感じた。原文の問題なのか訳が悪いのかは分からないが文章も読みづらい。 一方で後半の政治制度や産業、宗教などについてジャンル別に述べた部分は、その簡略さからあまり細かい議論に入っていかないので(文章はアレでも)難解な書にならずに済んでおり、カルタゴ史について入門者から中級者へのステップアップをしたい人には丁度良い本なのかな、と。2015/11/11
竜王五代の人
2
割と新しい本(原著2007年)なんだけど、カルタゴのことってまだよくわかってないんだ、という印象の本。モロク神の存在の否定や、幼児をいけにえにすることの実際みたいな興味深い話もあるけれど。2022/04/12
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