内容説明
翻訳とは、実際どのようなものなのか?本書は、その歴史と、近現代の翻訳理論をテーマ別に紹介するとともに、実践的な観点から翻訳の作用を分析する。言語の次元のみに限定されない、多様化する翻訳の現在についても解説。豊富な具体例によって、そのメカニズムを明快に論じた翻訳論の入門書。
目次
第1章 言語の多様性、翻訳の普遍性
第2章 翻訳の歴史
第3章 翻訳の理論
第4章 翻訳の作用
第5章 翻訳と通訳
第6章 翻訳の記号
著者等紹介
服部雄一郎[ハットリユウイチロウ]
1976年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。パリ第三大学留学。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(言語情報科学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
8
「オイディプスはイオカステとの結婚を望んでいた」は正しくても「オイディプスは母親との結婚を望んでいた」では同じ言語内の言い換えつまり翻訳として、正しくない意味が生成。違う言語間にもなるとさらに翻訳困難が頻発する構造の例に、フロイトの不気味なものdas Unheimlicheという概念をわざわざ持ち出す所作が如何にもフランス的な翻訳論入門。文字通り一つ一つ訳してく逐語派vs翻訳を文学的な再創造と見る優雅派の対立が古くからずっと続きつつ、対立を変奏しながらも理論的な学問分野が20世紀で急速に整備されて花開く。2024/07/08
サアベドラ
2
いかに滑らかな訳文を作るかを目指す実践的翻訳論ではなく、翻訳とはいかなる行為か、翻訳にはいかなるメカニズムが働いているかなどといったことを研究する、いうならば理論的翻訳論(翻訳学とした方が正確かもしれない)の手引書。あとがきによると、この分野は欧米ではここ数十年で急速に進歩してるけど日本ではまだまだ、なのだそうな。2011/11/29
愛楊
1
広くは価値自由と信じられている学問もまた価値からは逃れられない。翻訳論は二十世紀後期に大きく進展した学問分野である。 イタリアの格言「翻訳者は歪曲者」に表徴されるように、翻訳は規範性に縛られる歴史を持つ。本書は翻訳の歴史や理論、通訳、自己翻訳、国際化などから構成される。鍵語は起点/目標言語、形式等価/動的等価(ナイダ)、記号表現/内容の変型=移調/転調、自己翻訳、ハイパーテクスト性など。2023/06/09
氷月
1
訳者によると「翻訳論」とは、20世紀後半に登場し、翻訳の規範性ではなく、翻訳が変容や歪曲を含むということを前提とした上で、「翻訳とは実際どのようなものなのか」について探求する学問であるらしい。著者曰く、意味と形は不可離であるから、起点言語と目標言語のどちらに合わせるべきかというような話は、意味と形の二元論を前提としているのであまり意味がないと(「実務テクスト」はこの限りではない)。この本でも触れられていたが、現代では他の言語に容易にアクセスできるようになっているので、翻訳も身近な問題になるものと思われる。2021/08/22
宙音
0
レポート用。聖書にまで立ち返って論じられている。引用かなり多め。ストラテジーよりも理論ぽくて面白い。2020/07/16
-
- 電子書籍
- エヴァンゲリオン ANIMA 4 DE…
-
- 和書
- 京都いと、お菓子。