内容説明
宗教的行為・制度を、社会学的方法論をもちいて説明する学問が、宗教社会学である。それは、マルクスが先駆をなし、デュルケムとウェーバーによって確立された。本書は、彼らが宗教への社会学的眼差しを形成していく過程をたどるとともに、現代の宗教現象の解釈について概観する。
目次
第1章 社会学の伝統と宗教現象(カール・マルクス(一八一八~八三年)とさまざまなマルクス主義
アレクシス・ド・トクヴィル(一八〇五~五九)と宗教の諸々の徳 ほか)
第2章 教派的宗教社会学から宗教社会学へ(ガブリエル・ル・ブラとカトリシスムの社会学;CNRSの「宗教社会学グループ」の登場 ほか)
第3章 社会学に映る現代の宗教的なるもの(「新宗教運動」;保守十全主義(アンテグリスム)と進歩主義 ほか)
第4章 宗教と近代(モダニティ)―世俗化の議論(世俗化―異論の多いパラダイム;明らかにすべき概念としての世俗化 ほか)
第5章 宗教の社会学的定義へ(機能的定義;実体的定義 ほか)
著者等紹介
林伸一郎[ハヤシシンイチロウ]
1961年生まれ。1984年京都大学文学部卒。宗教学専攻。明星大学人文学部助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
8
フランス、ベルギー、イタリアなどの宗教社会学研究も参照しており便利。「旧共産圏ヨーロッパに関してパトリック・ミシェルが示したように、宗教は全体主義的権力に対する盾となることがある。だからこそ、宗教は共産主義的体制において、「個人のレベルで脱疎外、社会のレベルで脱全体化、そして国家のレベルで脱ソヴィエト化という三重の働きをする媒介となる」ことができた…オーバンの示すところによれば、中国では、共産主義の黄昏がイスラム教やキリスト教の回帰、また中国の伝統的諸宗教、とりわけ道教の回帰と同時的に進行している。」2023/07/01
星規夫
2
宗教を社会制度と見なし、社会との相互関係を研究する宗教社会学は非常に魅力的に思える。宗教の定義は様々であり、機能の観点、実体の観点などから分析することができるということを知ることができて、宗教音痴の自分としては非常にありがたい本だった。2012/09/04
onisjim
1
フランス宗教社会学について簡潔にまとめた本。でも、日本の大学で概論・概説を受ける人たち、初学者にも充分に参考になると思う。冒頭のデュルケム、ウェーバー、マルクスなどのまとめはちょっと簡潔すぎる感がある。2011/04/10
thuzsta
0
フランスが中心だったが特に障りはない2011/10/05