内容説明
「完成された言語」を意味するサンスクリットは、インドにおけるあらゆる知的活動を数千年にわたり支えてきた。本書は、その歴史と構造を紹介するとともに、その社会的・文化的機能について解説する。浄化と贖罪の言語となったこの言葉の有り様を、わかりやすく解きあかした入門書。
目次
第1章 サンスクリットという言語(サンスクリットの歴史;サンスクリットの構造)
第2章 サンスクリットの表象と言語哲学(サンスクリットとその他の諸言語;世界と社会のなかでのサンスクリットの位置;サンスクリットと超越的言語)
第3章 サンスクリットの使用者(日常言語としてのサンスクリット;サンスクリット知識人、パンディット)
第4章 サンスクリットの使用(話し言葉としてのサンスクリット;コミュニケーション言語としてのサンスクリット;科学技術言語としてのサンスクリット;文学言語としてのサンスクリット;宗教言語としてのサンスクリット)
第5章 サンスクリットの伝播(インドでの伝播;インド域外への伝播)
著者等紹介
竹内信夫[タケウチノブオ]
1945年生。1970年東京大学文学部卒。1976年東京大学大学院人文科学研究科中途退学。東京大学大学院総合文化研究科(比較文学比較文化)教授。フランス文学・比較文学比較文化専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サアベドラ
12
サンスクリットの入門書。文法は少なめで、インド内外におけるサンスクリットの伝承の歴史、知識言語、宗教言語としての立ち位置、ヴェーダの職業朗誦者であるパンディットについてなど、サンスクリットに関する基礎知識が簡潔にまとめられている。半分ぐらいはインド哲学みたいな話なので門外漢の私には理解しにくいところがあったが、雰囲気を味わうには十分な内容。2013/07/08
ソラヲ
4
前半はサンスクリットの歴史と文法の概説で、後半は古代インドの哲学, 宗教, 風習, 文学, 詩etc.に関する記述が中心。サンスクリットが「完成された言語」という意味であるところからも分かる通り古代インド人にとってサンスクリットとは言語の即自存在であり、故に近代の普遍言語構想の源流となった古代ギリシアのそれとは異なる独自の言語哲学が発展したのだと知って納得した。サンスクリット入門としてはもちろんのこと、インド文化入門としても丁度良い質・分量だった。2016/03/06
しょ~や
0
言語の歴史的な変遷が面白い。2017/07/15
s0o0gle
0
サンスクリットという言葉がインドにおいてどういうものであり、どういった人たち、そしてどういった場面において用いられたかについて。